京都地裁

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 独立行政法人福祉医療機構が公的年金を担保に取って貸し付ける融資について、生活保護受給者は利用できないにもかかわらず勧められ、経済的困窮に陥ったとして、京都市の女性が9日、同機構と貸し付け契約の代理店である京都中央信用金庫に対し、慰謝料など187万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。

 公的年金を担保に取ることは国民年金法や厚生年金保険法で禁じられており、同機構が行う「年金担保貸付」は法律で唯一認められた制度。ただ、生活費に使うための年金が返済に充てられて利用者の困窮化を招くとの懸念から、2022年3月末で終了が決まっている。

 訴状によると、女性は2018年、生活保護を受けていてカードローンの返済が難しいと同信金の融資担当者に相談したところ、年金担保貸付に借り換えるよう勧められ、国民年金・厚生年金を担保に30万円を借り入れた。しかし、年金担保貸付は生活保護受給者が利用できないため、女性は生活保護法に基づき貸し付け相当額の生活保護費を返還しなければならなくなった。一方で同機構が年金の一部を貸付金の返済に回すため、年金の手取り額が減り、借り入れ前より経済的に苦しくなったとしている。

 女性側は、融資担当者から制度の説明がなく、生活保護費の返還が発生することを知らなかったと主張。同機構や同信金が生活保護受給の有無について十分な確認をしないまま契約を結ばせたのは違法で、貸し付けは無効だと訴える。

 女性の代理人の尾﨑彰俊弁護士は「女性以外にも同様の事例があるならば、この訴訟をきっかけに是正されるべきだ」と話す。

 同機構と同信金はそれぞれ「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。