まだ食べられるのに捨てられる食べ物を減らすため、食品ロス削減推進法が施行されて1年が経過した。

 今年は、飢えのない世界を目指して食料支援を続ける国連の機関、世界食糧計画(WFP)へのノーベル平和賞の授与が決まった。食に関する問題を改めて考える機会としたい。

 国内の食品ロスは2017年の推計で、事業系が328万トン、家庭系が284万トンの年間612万トンに上る。国民1人当たりが、年間のコメの消費量に匹敵する約48キロを捨てている計算だ。

 推進法を受け、コンビニエンスストアやスーパーでは、売れ残りを少なくするため、季節商品を予約制にしたり、商品を期限切れ当日まで販売したりする動きが出ている。廃棄コストが減り、利益にもつながっているようだ。

 消費者側も、過度に便利さや鮮度にこだわらない意識改革をさらに進めたい。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、一斉休校や飲食店の休業が相次ぎ、各地で多くの食材が廃棄される事態となった。

 食材の有効活用策の一つとして、流通に乗らなかったり、家庭で余ったりした食品を必要な人たちへ届ける「フードバンク」の活動が盛んになっている。

 さまざまな事情を抱える親子らに無料で食事を提供する「子ども食堂」の活動にも役立てられている。

 現在、フードバンクで活用されているのは、食品ロス全体のうち0・1%にも満たず、支援のニーズに対して提供が極めて足りない状況だという。

 国は、食品メーカーや小売店に余った食品の情報を入力してもらい、バンクの運営団体や福祉施設に仲介するシステムの構築を進めている。補助金制度を設けて活動を後押しする自治体も増えている。コロナ禍で困窮する世帯が増える一方で、感染対策のために活動休止も目立つ。「橋渡し」支援のさらなる拡充が求められる。

 政府が30年度までに00年度比で半減を掲げる食品ロスの削減は、生産や焼却処分などで発生する温室効果ガスを減らすことにもつながる。

 世界では約8億人が飢えや栄養不足で苦しんでいるとされる中、日本は食料の多くを輸入に頼っている。食品の生産や販売、消費の各段階で大量に発生するロスをなくすことは、国際的な観点からも重要な責務だと言える。