不登校の児童生徒や保護者らとのカウンセリングに使用する京都市教育相談総合センターの相談室(京都市中京区)

不登校の児童生徒や保護者らとのカウンセリングに使用する京都市教育相談総合センターの相談室(京都市中京区)

 小中学校で不登校が毎年増加している。全国では7年連続で増えており、京都府や滋賀県でも同様の傾向を示している。背景に何があるのか。京都市教育委員会や民間の支援団体に取材した。

■「無気力・不安」最多32%、複数要因も

 「不登校増加の明確な答えはないが、学校を休むことへのハードルが下がってきた印象はある」。市教委生徒指導課の加藤みのり担当課長が語る。

 市立小の2019年度の不登校数は427人(前年度比65・5%増)、市立中も1110人(12・7%増)でいずれも過去最多だった。市教委が一因に挙げるのは17年に施行した教育機会確保法の影響だ。学校に行きたくても行くことができない児童生徒の休養の必要性が認められ、学校以外の場での学習機会を保障することが各教委に義務付けられた。法の趣旨が浸透し、無理してでも登校させようとする保護者や教員が減ったとみている。

 一方で子どもたちに変化はないのだろうか。市立小の不登校要因で19年度、最も多かったのは「無気力・不安」で約32%。次に「いじめを除く友人関係」が17%、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が16%などと続き、「いじめ」は4%だった。加藤担当課長は「大きな傾向に変化はないが、スマートフォンやゲームを夜中までして朝に起きられないなど生活リズムの乱れで登校しづらくなっている子が増えていることは考えられる」と指摘する。

 ただ、児童生徒への対応は慎重さが求められるという。「不登校の要因は友人関係や親の期待、発達の状況など複数が重なっていることが多いから」。市教育相談総合センター(こどもパトナ、中京区)の長谷川智広カウンセリングセンター長は説明する。「本人の特性や家族環境などは簡単に変えられないが、生活リズムや教室での座席位置、学校に対する考え方など、比較的変化させやすい要因を見つけ働きかけることで登校できるようになることもあり、その子どもに応じて様々なアプローチをしていく必要がある」と話す。

■コロナ禍、不登校にどう対応する?

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大で学校を取り巻く状況は大きく変わっている。その中で不登校にどう対応していくのか。

 加藤担当課長は「新型コロナの影響で不登校が増えたというデータはないが、6月の休校明けの分散登校で不登校だった子が登校できるようになったという事例は複数あった。少人数の登校で緊張感がなくなったのかもしれない」と明かす。その上で「今後も恐らく不登校は増えていくだろう。不登校の子の多くは『みんな学校に行けているのに行けない』との思いを抱えている。適応指導教室『ふれあいの杜』など居場所づくりの充実にも取り組み、多様な選択肢をつくりたい」との考えを示す。

 今後の不登校対策は小中で1人1台のタブレット端末などを整備する国の「GIGAスクール構想」が鍵になるとして「自宅や学校の別室などで担任の授業などを見られるようになれば新たな学習支援ができる。ただ『学校に行く必要がない』と考えるようになるなど逆効果も懸念される。より不登校の背景を正しく読み取り一人一人に応じた最善の支援方法を検討する必要がある」と強調する。