追加の経済対策を盛り込んだ2020年度第3次補正予算案の編成を菅義偉首相が指示した。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止や本格的な経済回復を掲げ、21年度予算案と一体的に使う「15カ月予算」として切れ目のない財政出動で後押しする考えだ。

 首相は「経済を民需主導の成長軌道に戻していく」と狙いを強調した。だが、与党内では次期衆院選を意識し、10兆円を大きく上回る規模を求める声が出ている。

 規模先行ではなく、先立つ2度の大型補正とコロナ禍の現状を十分に踏まえ、巨額支出の必要性と政策効果を見極めるべきだ。

 政府が3次補正へ踏み出すのは、景気回復の足取りが鈍いまま、国内外のコロナ感染再燃に不安が広がっている背景があろう。

 盛り込む施策として、企業の雇用を支える「雇用調整助成金」を拡充した特例措置を12月末の期限から一定期間にわたり継続。観光支援策「Go To トラベル」も来年1月末までとしている実施期間の延長を検討するという。

 これらは国内需要の回復が遅れる中、雇用や消費を少なからず下支えしてきたのは事実だろう。

 ただ、国内景気は6月までに底を打ったとの見方が強く、異例の1人10万円給付など巨額支出で家計や企業を緊急支援した1、2次補正時とは状況が異なる。

 政府は施策の延長時、雇用助成の特例措置や観光支援の補助対象を段階的に縮小することも視野に検討するとしている。

 これまで危機対応を急ぐあまり、不正受給が相次いだ持続化給付金をはじめ、ずさんな制度設計で招いた混乱や偏りを繰り返してはなるまい。本当に必要とするところに届き、十分に役立てられているのか。活用状況の検証と重点化、効率化が求められよう。

 気掛かりは3次補正に政権肝いりのデジタル化や、コロナと関係が薄いとして1、2次補正で見送られた公共事業も加えることだ。

 本来、当初予算で全体を見据えて検討すべきで、コロナ禍克服を名目に補正に潜り込ませるのは筋違いではないか。

 20年度一般会計予算は既に2度の補正で空前の160兆円超に膨らみ、財源を補う新規国債発行額も過去最大の90兆円を超える。

 焦眉のコロナ対策は3次補正でワクチン確保費などを想定するが、再流行時の医療体制強化などに充てる予備費はまだ7兆円余り使われず残っている。さらに借金を積み上げる意味が問われよう。