新型コロナウイルスの新規感染者数が再び拡大し、「第3波」がやって来たとみられている。

 大阪、埼玉、兵庫の各府県などで、1日当たりの新規感染が、これまでの最多を更新する深刻な事態である。

 大阪府は、大声を避けたり、マスク着用を徹底したりすることを呼び掛けたが、経済活動に配慮して、休業や時短の要請には踏み込んでいない。

 予防と治療における抜本的な対策が、何より求められるところであろう。

 こうした中、新型コロナ感染症のワクチンを接種する体制をつくる予防接種法改正案が、国会で審議入りした。

 菅義偉首相は「来年前半までに全ての国民に提供できる量を確保する」と強調している。

 接種が適切に行える環境を、着実に整えねばなるまい。

 改正案は、接種に掛かる費用を国が全額負担するとともに、重い副作用による被害が出た場合の救済措置を備えるとする。

 最新の科学的知見を踏まえて、早期成立を図りたい。

 とはいえ、肝心のワクチンが開発されなければ、せっかくの法整備も活用できない。

 世界保健機関(WHO)によると、今月はじめまでに臨床試験の最終段階にあるワクチンは、10種類あるとされる。

 政府は、製薬大手の米ファイザーと英アストラゼネカから、それぞれ6千万人分の供給を受ける契約で、基本合意した。ほかに、米バイオテクノロジー企業モデルナとも、2500万人分の契約を結んでいる。

 先日、ファイザーは開発中のワクチンが臨床試験で、90%以上の有効性を示したとの暫定結果を公表した。今月中にも、緊急使用許可を米当局に申請する方針だ。

 コロナ禍にあって、朗報ではある。ただ、最終的な結果ではないので、過度に期待するのは避けた方がよかろう。

 ワクチンの効果が持続する期間や年代別、人種別の効き目、重症化を防ぐ効果といった点では、未知の部分が残る。

 人工遺伝子を利用する新しいタイプで、マイナス70度以下で保管する必要があるそうだ。

 ワクチン接種の法整備を終えたとしても、政府は安閑としていられない。安全性、有効性をしっかりと確かめたうえで、保管や輸送の際の多様な課題についても、克服してもらいたい。