新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国公私立大は2021年度入試の実施方法や出題内容の見直しを進めている。文部科学省も来年1月に初めて実施される大学入学共通テストにおける対策を取りまとめた。

 冬の受験シーズンを前に、コロナ感染再燃の兆しが見えている。

 現役の高校3年生は、共通テストをはじめとする入試改革の迷走にも振り回されてきた。感染対策に万全を期し、受験生が安心して試験に臨めるよう、最大限の配慮が必要だ。

 21年度入試を巡っては、コロナによる休校に伴う授業進度の遅れが懸念されている。共通テストの時期の繰り延べなどを求める声もあり、文科省は当初予定の1月16、17日の「第1日程」に加え、同月末に「第2日程」を設けた。

 ただ、第2日程を選んだ出願者は全体の0・1%に当たる789人にとどまった。第1日程との間隔が2週間しかないために救済措置としての意味合いが希薄で、一部の私立大の入試日程と重複することなどからも敬遠されたようだ。

 各大学が実施する一般入試では、高3の後半以降に履修することが多い発展的な学習内容について、出題から除外したり、設問に補足的な説明を加えたりするなどの対策が取られる。授業進度は、休校期間の長さによって地域や学校ごとの格差が生じている。受験生に不公平感を生まないよう心掛けてほしい。

 コロナ感染により試験を欠席した受験生への対応も大きな課題だ。

 国立大は追試験を実施し、私立大は別日程での振り替え受験を認める方向で調整している。感染者の濃厚接触者については、無症状など一定の条件を満たせば受験が可能とするガイドラインを文科省が作成した。

 追試験での合格者について、文科省は定員規制の対象外とすることを決めている。多くの大学が実施日を3月に設定しているために入学までの時間的余裕がなく、定員管理が難しくなることを考慮したためだ。追試験での受験が不利になることのないよう、大学の柔軟な対応が望まれる。

 受験会場の感染防止対策も重要だ。共通テストでは、「3密」をできる限り避けるため、1メートル程度の座席間隔の確保や1科目ごとの換気などが具体策として挙げられている。各大学も、入退室の分散化、保護者控え室や食堂の閉鎖などの対応を取る予定だ。

 都道府県をまたぐような移動は、感染の大きなリスクとなる。複数の受験会場の設置は私立大では進んでいるが、国公立大ではまだ少ない。スタッフの配置などで難しい面もあろうが、ぜひ検討してもらいたい。

 コロナを契機として、各大学では、筆記試験だけでなく、オンライン面接や小論文の事前提出など従来はなかった選抜方法を模索する動きが広がっている。受験生の目線に立って、入試運営の在り方を見直す機会としてほしい。