2004年から火力発電所の稼働がストップしたままの関西電力宮津エネルギー研究所(宮津市小田宿野)

2004年から火力発電所の稼働がストップしたままの関西電力宮津エネルギー研究所(宮津市小田宿野)

関西電力宮津エネルギー研究所の地図

関西電力宮津エネルギー研究所の地図

 関西電力の岩根茂樹社長が2日、宮津エネルギー研究所(宮津市)の火力発電所再稼働を事実上断念する意向を表明した。地元が反対する中で整備され、地域の雇用や市の税収に大きな影響力を持つ施設だが、10年以上の停止期間を経て大きな節目を迎え、地元からは今後の関電の対応に注文が付いた。

 岩根社長が京都市上京区の京都府庁を訪れて西脇隆俊知事と城﨑雅文市長に伝えた。関電などによると、1989年に稼働した同発電所1、2号機は出力計75万キロワット。96年ごろまで最大出力の15~30%で稼働。ピーク時は400人程度を雇用した。節電指向の高まりなどで需要が落ち込んで数%しか発電しない状態となり、2004年4月までに経営効率化の一環で停止した。

 市は東日本大震災を機に、電力の安定供給のため再稼働を要請してきたが、「動かすには3年程度の時間がかかり、将来の事業環境も極めて不透明」(岩根社長)と応じなかった。火力は電力安定供給のための予備調整力の意味合いも大きく、関電は原発再稼働を進める中で最新鋭の火力発電の開発や導入も目指しているが、「今回の話しは別」(岩根社長)とした。

 一方、城﨑市長は「大きな地域貢献があったが期待を裏切られた」と驚きを隠さなかった。

 地元の対策委員だった堀江寿美雄さん(85)=同市小田宿野=は「採算が合わなくなったので切り捨てるのは大企業のやり方。地元のためにも雇用につながるような有効活用をしてほしい」と求めた。先月下旬、西脇知事に再稼働を要望した宮津商工会議所の今井一雄会頭も「地域がいろいろな犠牲を払ってつくられた。無駄にならないよう、活用方法を地元としても考えていかなければならない」と述べた。

 敷地内には関電の関連会社が運営する水族館「丹後魚っ知館」があり、ピーク時は年間30万人前後が来場した。近年でも年間8万5千人が訪れる人気スポットとなっている。研究所の立地に伴う固定資産税などの収入がある市は「財政でも大きなウエイトを占めているだけに残念」(企画部)としている。

 岩根社長は再開発について「地元に方針を理解してもらえばアイデアを出す」と述べたが、具体案や時期は示さなかった。関電には使用済み核燃料の中間貯蔵施設を福井県外に整備する計画があるが、岩根社長は「地元同意がない状態では造らない」と明言。西脇知事も「念頭にない」と述べた。