国会議事堂

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 11月12日の衆院農水委員会。農産物の国産品種の海外流出防止を目的とした種苗法改正案について、政府は「(流出を)止めることは難しい」と答弁した。

 法律を作っても効果はない、と自ら認めた。なぜこんなことになるのか。

 日本で開発された果物などの種や苗が国外に持ち出され、栽培されている実態は確かにある。

 これに対して国が用意したのが種苗法改正案だ。

 現行法は、農産物の新品種を開発・登録した人の知的財産権を保護するが、農家が自分で種や苗を購入して収穫し、翌年から自分の農地で使う「自家増殖」は認めている。

 改正法案は、新品種のうち「登録品種」については自家増殖を原則的に禁止する。農家を萎縮させ、農業の伝統や流儀に大きな影響があると懸念されている。

 そもそも、国内農家の自家増殖を禁ずれば種や苗の海外流出が止まる、という理屈に飛躍はないか。

 世界の農業に詳しい印鑰(いんやく)智也氏は農水委の参考人質疑で「日本の農家が国外流出の犯人ということだが、その証拠はない」と述べ、海外での品種登録こそ必要と指摘した。

 海外での品種登録の必要性は農水省も過去に認めているが、なぜか着手されていない。改正法案は怠慢ともいうべき不作為を糊塗するのが狙いなのか、と邪推してしまう。

 自民・公明は17日にも採決に踏み切る構えだ。日本の農業に大きな影響を与えかねないのに、議論は深めようとしない。将来に禍根を残さないだろうか。