政府と日銀が、足並みをそろえて、地方銀行の再編に乗り出したようだ。

 日銀は先週、新型コロナウイルスで業績の悪化する地銀の再編を後押しする新制度を創設する、と発表した。これに続いて政府は、地銀や信用金庫が合併する際、システム統合などに要する費用の一部を補助する方針を固めた。

 現在、全国に約100行あるとされる地銀は、いずれも地域経済の要である。今後、再編を進めるとしても、その影響を見通しておかねばなるまい。

 新制度で日銀は、本年度から3年間、経営統合や合併を決めた地銀などが日銀に預けている当座預金の残高に、年0・1%の上乗せ金利を支払う。

 地銀は、一部に適用されているマイナス金利分を、日銀に支払う必要がなくなり、受け取る利子が増える。

 再編を促す事実上の補助金である。日銀のマイナス金利政策の軌道修正とも受け取れる。異例の対応だ。

 政府の補助は、人口が減少している地域の地銀などを、対象とする予定だ。

 100億円程度の経費がかかるとされる合併に対し、1件当たり最大30億円を交付する制度を、来年夏にも設ける。手厚い措置だといえよう。

 背景には、人口減少とともに長引く低金利によって、地銀の「稼ぐ力」が弱まっているとの認識がある。日銀は昨年、10年後に地銀の約6割が赤字に陥るとする試算を公表した。

 政府は、地銀の経営統合に独占禁止法を適用しない特例法を、今月中に施行する。今回の取り組みも、対策を打っておかないと、行き詰まる地銀が続出するとみて、打ち出したのだろう。

 ただ、地銀側には、地域の経済界で中心的な役割を担っているとの自負がある。合併などを決断するのは、簡単なことではない。

 決断したからといって、必ず経営が改善するわけではない。金融機関が減少して、資金需要に応えられない事態も想定される。抵抗感は根強い。

 政府、日銀の政策が、地銀の数が多すぎるとする菅義偉首相の持論に、あまりに沿いすぎているのも、気掛かりである。

 個々の再編の是非については、地域によって経済情勢が異なる点を考慮し、コロナ禍以降の地域を支えていく視点から、適切に判断してもらいたい。