だが脱衣での健診を一律に決める自治体は多くはなく、学校で判断が分かれている。京都府医師会が京都市を除く府内の全公立小中学校を対象に行った2018年度のアンケートによると、脊柱検査を男女とも上半身脱衣で実施したのは、小学校で70・9%。だが生徒の心身が大きく変化する中学校では32・1%にとどまり、男子のみ裸が47・6%、「一定以上の学年で女児のみ下着などを着用」「脊柱検査で服をまくり上げる」といった「その他」は20・3%だった。

脊柱検査の上半身脱衣の状況


■必要に応じめくる

 全国の政令市などを見ても同様の傾向だ。仙台、横浜、名古屋、大津、福岡市の各教委は「学校と校医が状況に応じて判断している」とする。体操着やジャージー、マントタイプのバスタオルを着用し、必要に応じてめくるなどの対応が一般的だと答えた。福岡市教委は「脱衣での健診は賛否両論あり、難しい問題だ。市医師会は着衣のままだと疾病を見逃す可能性があり脱衣が望ましいという意見だが、保護者の考えはさまざまで子どもが嫌がるという声もあり、学校医には配慮を求めている」とする。

■「ノー」と言う教育が不十分

【思春期の心理に詳しい精神科医 定本ゆきこ・京都少年鑑別所医務課長】

 学校健診で一律に服を脱がせるのは反対だ。思春期の子どもは自分の体の変化を受け止めかねており、他者からの視線や言葉掛けに過敏になっている。特に異性の他人に裸を見られるのは大変苦痛だろう。

定本ゆきこ氏

 性教育の不十分さも今回の問題の一因と考える。男女で違うプライベートゾーン(水着で隠れる部分など)は大切なもので、自分の意に反して人に見せる必要はないという教育が徹底されていれば、子どもは納得できない脱衣にノーと言える。ただ教員の指示に子どもは嫌でも従う側面があり、その関係性を学校は理解しておく必要がある。

 脱衣の理由の一つに虐待の発見が挙げられるが、小学校中学年以上の年齢にもなれば健診ではなく、担任や養護教諭との信頼関係の中で発見されるべきである。実際に虐待を受けている児童生徒が自由意志に反して服を脱がされることは、トラウマ(心的外傷)を呼び起こす可能性があることに留意してほしい。