グループ学習に臨む堀さん(中央)。タブレット端末で撮影した文字などを拡大して確認する=京都市中京区・朱雀中

グループ学習に臨む堀さん(中央)。タブレット端末で撮影した文字などを拡大して確認する=京都市中京区・朱雀中

定期テストなどで堀さんが使う拡大読書器

定期テストなどで堀さんが使う拡大読書器

 京都市中京区の市立朱雀中に2018年4月、盲学校の小学部を卒業した男子生徒が入学した。生徒は当初、普通学校に移ることに不安を抱いていたが、3年生となった現在では仲間や教員らの支えを受けて充実した学校生活を送っている。学校側も入学を機に障害がある人と共に生きる社会について考える人権教育に力を入れ、生徒たちの他人を思いやる心が育まれているという。

 生徒は堀遥歩(あゆむ)さん(15)。11月上旬に学校を訪れると、理科の授業でグループ学習を行っていた。堀さんはタブレット端末で教材の文字や図式を撮影しては拡大して確認。難問に悪戦苦闘していると近くの女子生徒が「ここはこうして気体が発生するんだよ」と教えてあげていた。

■「もっといろんなことがしてみたい」

 堀さんは生まれた時から弱視で、左目は見えず、右目の視力は0・06。京都府立盲学校(北区)の小学部で学んでいたが、小学3、4年生の頃から「もっといろんなことがしてみたい」と居住地域の学校に入りたいとの気持ちが強くなった。6年生の時には朱雀中への入学準備のため、地域の小学校の授業に参加したり、同中まで1人で登校する練習をしたりした。それでも「(普通の)幼稚園に通っていた時にいじめられた経験から怖く、不安だった」こともあり最後まで悩んだという。

 同中も教員が事前にアイマスクで弱視の見え方を体験するなどして受け入れ体制を整えた。入学後は学年集会を開いて生徒たちに協力を求め、堀さん自身も「手助けをお願いした時は助けてほしい」などと呼び掛けた。授業ではサポートの教員が1人付き添い、タブレット端末で黒板の板書を撮影することも認めた。定期試験は通常の1・3倍の時間で実施するなどして対応した。

■「プリント配られているよ」クラスメートも協力

 クラスの仲間たちの協力も大きかった。「プリントが配られているよ」「ここに階段があるよ」などと注意を促し、バレーボールでは特別ルールを設けるなど全員で楽しめる工夫を考えた。現在では学校生活の支障はほぼなく10月には長崎県への修学旅行にも参加した。3年間担任をする岩本信吾教諭(36)は「当初は同級生もどこまで手助けすればいいか戸惑っていたが、次第に何に困るかが分かってきた」と振り返る。友人の3年前田修志さん(15)は「堀君は場を和ませてくれる。自分も高齢者など困っている人にできることがないかと考えるようになった」と語る。