「1票の格差」が最大3・00倍だった2019年7月の参院選は憲法違反だとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた全国訴訟で、最高裁は合憲とする判断を示した。

 判決は、最高裁が合憲とした前回の16年参院選の3・08倍から格差が縮小したとして、国会の取り組みを評価した。

 これで司法のお墨付きが得られた訳ではない。是正努力が不十分で、著しい不平等が続いているとして、15人の裁判官のうち3人が「違憲」とする反対意見を述べ、1人が「違憲状態」とした。重く受け止める必要がある。

 国会は、小手先の見直しではなく、参院の役割やあるべき選挙制度の議論を踏まえた抜本的な制度改正を急ぐべきだ。

 今回の訴訟は、格差是正に向けた国会の取り組みへの評価が焦点だった。

 19年選挙前の公選法改正は、有権者が多い埼玉選挙区の定数を2増やして格差を縮めた。最高裁判決は「是正を指向する国会の姿勢が失われたとは言えない」と指摘した。わずかながらも格差是正を進めた国会の取り組みを尊重する姿勢を示したと言えよう。

 「違憲」とした裁判官は、格差是正に向けた国会の努力不足を批判している。

 国会は、15年公選法改正の付則で「19年選挙に向け、必ず結論を得る」と明記し、抜本的な選挙制度の見直しを約束していた。これについて、以降の取り組みは「内容が乏しい」と非難。合憲と判断すれば「現状を容認したと受け取られかねない」とした。

 別の裁判官は、16年選挙で初めて導入された合区に関して、その後も多くの選挙区が都道府県を単位としていることに変わりはなく、1票の価値で不平等な状態が続いていると言及。格差が生じないようにするための制度設計が十分にできていないのは「裁量権の限界を超えている」との意見を付けた。

 国会は、これらの指摘に誠実に向き合わねばならない。

 参院の選挙制度改革を巡っては、自民党が憲法改正による合区解消を主張。公明党や野党はブロックごとの大選挙区制、比例代表制などを訴えているが、議論は平行線だ。このままでは立法の不作為が問われかねない。

 選挙制度は民主主義の根幹をなすものだ。各党は投票価値の平等の実現に向け、合意形成への継続した努力が求められる。