優れた文化、再発見

岡山県指定文化財 木造 宝冠阿弥陀如来坐像 鎌倉時代・嘉暦4(1329)年 岡山県立博物館
重要文化財 地蔵菩薩来迎図(僧形八幡神影向図)南北朝時代 捧澤寺(小田郡)=展示は12月20日まで

 かつて吉備国(きびのくに)として一大勢力を築いた岡山県。京都と中国・朝鮮半島を結ぶ交通の要衝で、浄土宗の宗祖法然や、臨済宗の宗祖栄西らを輩出するなど、長い歴史の中で豊かな宗教文化が育まれ、優れた美術品が今も伝わる。

 改修工事で休館中の岡山県立博物館(岡山市)から所蔵品と寄託品の一部約100点を龍谷大龍谷ミュージアムが預かり、企画展が実現した。「密教美術」と「神仏習合の美術」の2部構成で、重要文化財11点を含む約50点を展示する。

重要文化財 両界曼荼羅のうち胎蔵界 鎌倉時代 寳光寺(瀬戸内市)=展示は12月20日まで
重要文化財 不動明王二童子四十八使者像 南北朝時代 寳光寺(瀬戸内市)

 密教の根本教理を表現した「両界曼荼羅(まんだら)」は計5点を期間中、入れ替えて展示する。寳光(ほうこう)寺所蔵(2幅1対)は鎌倉時代の作。表装部分も絵と同じ絹を使って描くなど手の込んだ描表装(かきびょうそう)で、当時の寺の豊かさをうかがい知ることができる。螺髪(らほつ)でなく髪を結び上げ、宝冠姿が珍しい阿弥陀如来坐像(県立博物館所蔵)や国内で2点のみという四十八使者を伴った不動明王の絵画(寳光寺)もそろう。

岡山県指定文化財 木造 男神坐像 平安時代後期 宇南寺(真庭市)=寿福滋氏撮影
重要文化財 木造 獅子 平安時代後期 高野神社(津山市)=寿福滋氏撮影
岡山県指定文化財 木造 童形神(文殊大明神)坐像 南北朝・応安3(1370)年 摩賀多神社(久米郡)=寿福滋氏撮影

 神仏習合では、「男神坐像」(宇南寺)の表情が興味深い。口をへの字に結び、怒りを内側に込めているよう。背中や肩には梵字(ぼんじ)が書かれている。

 企画展には、龍谷大の系列校・岡山龍谷高が協力した。展示品の所蔵元である寺社約20カ所を生徒が取材し、見どころなどを紹介したパネルを制作。エントランスに展示する。龍谷ミュージアム副館長の石川知彦さんは「宗教美術では京都や奈良に関心が向きがちだが、岡山にも優れた美術品があることを再発見してほしい。いずれ岡山に足を運ぶきっかけにもなればうれしい」と語る。



【会期】11月21日(土)~12月27日(日)、2021年1月6日(水)~24日(日)。月曜と11月24日(火)休館。11月23日、1月11日開館。展示替えあり。ホームページから入館予約が必要。
【開館時間】午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
【入館料】一般900(700)円、高大生500(300)円、小中生200(100)円。かっこ内は20人以上の団体料金
【会場】龍谷大龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル)
【関連イベント】記念講演会「岡山の宗教美術 風土と人を通して」 1月10日(日)午後1時半~午後3時、龍谷大大宮学舎。講師は、就実大非常勤講師で元岡山県立博物館統括学芸員の中田利枝子氏。先着100人。無料。ホームページかミュージアムで開催日前日までに申し込みが必要。
【主催】龍谷大龍谷ミュージアム、朝日新聞社、京都新聞
【問い合わせ】075(351)2500