新型コロナウイルス感染が急拡大している。

 全国の新規感染者数はきのう、2300人を超え、過去最多を更新した。東京都や北海道をはじめ多くの府県で増加し続けている。

 流行の「第3波」の様相だ。寒さや乾燥など感染が広がりやすくなる季節を迎え、爆発的な拡大の可能性も懸念されている。いっそうの警戒が必要だ。

 東京都は4段階ある独自の警戒度を最高ランクに位置づけた。北海道は札幌市に道内他地域との往来自粛を求めている。京都府、滋賀県もそれぞれ自前の警戒レベルを引き上げ、注意を促している。

 今回の感染には、これまでとは異なる特徴がある。東京都では夏まで多かった夜の繁華街などでのクラスター(感染者集団)は少なく、家族間などの小規模感染が目立つ。対象が絞りにくく、効果的な対策が打ち出しにくいという。

 気になるのは、政府の認識の甘さだ。感染拡大防止に躍起の自治体に比べ、ギャップを感じる。

 今回の感染拡大の背景には、政府が旗を振る「Go To」事業の影響が指摘されている。

 だが、政府は飲食を原則4人以下にするなどの制限を各知事に要請したが、事業の大枠は維持する方向だ。感染防止策を呼びかけながら、経済活動の回復を重視する方針は崩していない。

 飲食店への時短要請に伴って自治体が支給する協力金の8割を政府が負担する考えも示している。

 ただ、政府が人の移動を事実上「推進」「放任」していることから営業制限の効果を図りかね、要請の実施に慎重な自治体もある。

 政府が感染対策の現場を戸惑わせるようでは、収束への道筋も付けられない。流行が顕著になった今は、経済より感染防止に軸足を移し、国民の健康を守る姿勢を打ち出すことが必要ではないか。

 医療関係者の危機感は切実だ。東京都の状況については専門家がきのう、「急速な感染拡大の局面を迎えた」と指摘している。

 現時点で全国的に医療供給体制は逼迫(ひっぱく)していないとされるが、重症患者の治療に使う人工心肺装置などの使用がこの半月余りで1・5倍になったとのデータもある。

 心筋梗塞や脳卒中が増える冬場は救急用の病床が埋まりやすくなるという。油断はできない。

 日本医師会会長は週末の3連休に不要不急の外出を控えるよう訴えた。手をこまねいている場合ではない。いま何が必要か、その優先順位を間違えてはいけない。