旧三井家下鴨別邸の望楼から庭園の紅葉を楽しむ観光客(京都市左京区)

旧三井家下鴨別邸の望楼から庭園の紅葉を楽しむ観光客(京都市左京区)

 紅葉が見頃を迎えた京都市内は、21日から始まる3連休で新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ正念場を迎える。混雑が予想される観光地では利用や拝観の分散化など「密」を避ける対策を講じる一方、春と夏を上回る感染ペースの中で宿泊やイベントを見合わせる動きも相次ぐ。観光業界では、客足や消費回復への期待と、需要を再び冷え込ませかねない感染爆発への警戒感が交錯している。

■「限られた人数で安全に」

 色づいた木々が光に照らされ、晩秋の闇夜に鮮やかに映える。紅葉の時期に実施される社寺の夜間特別拝観は人気が高いが、今年は人数制限を設けるケースが目立つ。名所として知られる東福寺(東山区)や鹿王院(右京区)は完全予約制とし、それぞれ1回の定員を設定。鹿王院の夜間拝観に協力する京福電気鉄道の担当者は「限られた人数の空間で安全に観光を楽しみたいという志向が強まっている」と分析する。

 この時期限定で庭園の紅葉を見渡せる望楼を特別公開している旧三井家下鴨別邸(左京区)は、事前予約制を初めて導入し、定員も10人に絞った。初日の19日に広島市から家族3人で訪れた女性(60)は「狭い空間だったけど安心して楽しめた」とほっとした様子で話した。

 洛北の紅葉が沿線に広がる叡山電鉄は、今夏の土砂崩れで「もみじのトンネル」と呼ばれる区間の運休を余儀なくされている。乗客数は前年比でほぼ半減したが、休日に1日400本超に達した前年と同等の特別運行ダイヤを維持。鞍馬方面へは京都バスへ乗り換えられる市原駅まで運行し、乗客の分散化を図る。

■「ポケモンGO」イベント中止

 国の観光支援事業「Go To トラベル」も追い風となり、京都の主要ホテルの宿泊利用は9月以降に顕著に回復した。ただ足元で急増する感染者数の動向に、観光客は敏感に反応。ホテル日航プリンセス京都(下京区)は3連休の宿泊予約が順調だったが、今週にキャンセルが増え始めたという。辻吉久社長は「3連休は稼働率90%台も見えていたが、『第3波』が騒がれ始めた途端に宿泊を見合わせるお客さんが増えた」と表情を曇らせる。

 スマートフォンの人気ゲーム「ポケモンGO(ゴー)」で、3連休中に国内では京都だけで開催予定だった地域限定イベントも、中止に追い込まれた。全国のファンが京都に集うことも想定されたが、感染拡大状況の中で運営会社が断念した。