トランプ米政権が、アフガニスタンとイラクに駐留する米軍のさらなる削減を発表した。

 来年1月15日までにアフガンは現行約4500人から約2500人へとほぼ半減し、イラクも約3千人から約2500人に減らすという。公約としていた外国駐留軍削減を政権交代前に駆け込みで強行する形だ。米軍撤退が地域の安定や和平につながるのか不透明であり、拙速と言わざるを得ない。

 トランプ大統領に起用されたばかりのミラー米国防長官代行が、議会に削減方針を説明した。

 トランプ氏はバイデン前副大統領の大統領選勝利を認めず抵抗を続けている。有言実行の姿勢を示し、支持層をつなぎ留める狙いがあるのだろう。敗北が確定した場合、4年後の次期大統領選への再出馬を見据え、保守層への影響力を維持したいとの思惑も透ける。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は、「世界の警察官」としての米軍の海外展開や紛争介入に否定的だ。2001年の米中枢同時テロに端を発したアフガンでの「終わりのない戦争」に反対し、イラクなどを含め海外に駐留する米軍の撤退・削減を公約としてきた。

 アフガンでは2月、反政府武装勢力タリバンとの和平合意に署名し、駐留米軍約1万3千人を段階的に減らして、14カ月以内に完全撤退することになっている。しかし恒久停戦に向けた協議は停滞し、各地で戦闘やテロが続く。

 トランプ氏の撤退方針は、米国内で厭戦(えんせん)ムードを背景に一定の理解を得ているのも確かだ。ただ和平合意の一環とはいえ、現地はただちに米軍を削減できる情勢とは程遠い。トランプ氏が電撃解任したエスパー前国防長官は、撤退に反対していたとされ、意見の相違が解任の一因とみられる。

 「場当たり的な決断は安全保障を損ない、米国やアフガン、イラクの人々の命を危険にさらす」「拙速に撤退する代償は大きい」といった批判が与党共和党を含め相次いでいる。当然と言える。

 安全保障面での身勝手な振る舞いは国際社会へ悪影響を及ぼす。地域が不安定化し、テロの拡大を招く恐れがあることを認識すべきだ。米軍削減後の事態に責任を取れる立場にないトランプ氏には強く自制を求めたい。

 併せて新政権を担うバイデン氏にアフガンなどの和平へ一層の努力を求めたい。米軍撤退は自身が副大統領を務めたオバマ前政権時代から持ち越した課題でもあることを肝に銘じてほしい。