西山美香さん

西山美香さん

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年に患者を死亡させたとして滋賀県警に逮捕され、殺人罪で懲役12年の判決が確定し服役後、今年3月に再審無罪判決(確定)を受けた元看護助手西山美香さん(40)=彦根市=が21日、国や県を相手に国家賠償請求訴訟を年内にも大津地裁に起こす意向を明らかにした。再審判決で不当性が指摘された捜査の実態解明などを目指すとしている。

 西山さんは京都新聞社の取材に対し、「(再審請求段階での証拠開示の規定など)再審に関する法整備を求める声が市民からも上がる中、冤罪(えんざい)被害者として国賠を起こすことで、世の中に冤罪や再審の問題点を訴えたい」と話した。

 代理人弁護士によると、提訴した場合、県警が軽度の知的障害などがある西山さんを不当に誘導して「自白」に追い込んだとされる点のほか、患者の事故死の可能性に言及した医師の所見があった捜査報告書を県警が検察に送らなかった経緯など、捜査の違法性を追及する。再審公判で行われなかった当時の取り調べ担当刑事らへの証人尋問も請求する方針。

 西山さんは、04年の初公判前に拘置所に面会に来た担当刑事が「(公判で)否認しても、私の本当の気持ちではない」と検察官宛てに手紙を書かせた理由や、再審の長期化を招いたとして、大阪高裁の再審開始決定に対する検察の特別抗告の経緯などをただしたいとしている。

 請求額は現在、弁護団が検討中。西山さんに対しては10月、刑事補償金5997万5千円の交付決定が出ており、国賠ではそれを差し引いた上で精神的、経済的損害などを積み上げて決める。

 大津地裁は3月の再審判決で、同病院の患者の死亡について、そもそも殺人事件でなかった可能性が高いと判断。西山さんの「自白」の信用性や任意性を否定し、取り調べ刑事への恋愛感情を利用して自白を誘導するなどした県警の捜査の不当性を認めた。