夕霧太夫をしのぶ特別展。今月亡くなった坂田藤十郎さんが1998年の南座・顔見世「廓文章」で着た夕霧の衣装も展示している(京都市東山区・北座)

夕霧太夫をしのぶ特別展。今月亡くなった坂田藤十郎さんが1998年の南座・顔見世「廓文章」で着た夕霧の衣装も展示している(京都市東山区・北座)

 今年の南座・顔見世興行(12月5日~19日)で、上方歌舞伎の代表作「廓文章(くるわぶんしょう) 吉田屋」が上演されるのに合わせ、京都生まれのヒロイン・夕霧太夫をしのぶ特別展が、南座向かいの北座(京都市東山区)で開かれている。11月12日に亡くなった上方歌舞伎の象徴・坂田藤十郎さんが、かつて顔見世で着た夕霧太夫の衣装も展示している。

 夕霧太夫(1654~78年)は、京都・嵯峨の生まれ。当初は京・島原の遊女だったが、大坂に移って全盛を極め、恋人・伊左衛門との情話は、「廓文章」など多くの芸能の題材になっている。

 特別展では、夕霧の生い立ち紹介や、ゆかりの品を展示。1998年の南座・顔見世で、夕霧役を演じた藤十郎さん(当時は三代目中村鴈治郎)が着た衣装は、紅藤綸子地(べにふじりんずじ)に四季の花を縫った華やかな図柄になっている。

 今年の顔見世で夕霧役を務める藤十郎さんの孫、中村壱(かず)太郎さん(30)の特別インタビュー映像も会場で放映。「夕霧は女形では上方歌舞伎の最高峰の役。祖父からは華(はな)がないといけないといわれたが、まねをするだけでは駄目とも教わった。思いを踏襲したい」と誓っている。伊左衛門役は、松本幸四郎さん(47)。珍しい東京式の清元で演じるという。

 特別展会場の北座5階「ぎをん思いで博物館」は井筒八ッ橋本舗が運営。同社は、「廓文章」にちなんで伊左衛門がかぶる編み笠の形をした銘菓「夕霧」を長く販売しており、今回の展示を企画した。津田純一社長は「準備中に藤十郎さんの訃報が届き、本当に残念。夕霧とともに、しのんでいただく機会になれば」と話す。

 500円。北座075(531)2121へ。