京都市伏見区の向島ニュータウンで、まちの活性化を目指して「向島ニュータウンまちづくりビジョン検討会」が活動を始めた。全国のニュータウンが、建物の老朽化や少子高齢化などの課題を抱える中、住民を中心に、大学や事業者、行政が連携し、理想的なまちの在り方を模索している。(今野麦)

 6月11日、向島藤の木小で、検討会主催のタウンミーティングが開かれた。住民ら約100人が、住まい▽高齢者・障害者▽子育て充実▽防災・防犯▽歴史文化・多文化共生▽経済活性化・交通問題の6分科会に分かれ、ニュータウンの現状や課題を討論した。
 参加者が意見を書いた付箋を模造紙に張り出すと、「緑が多い」「国際色豊か」など、魅力が語られる一方で、空き家の増加やコミュニティーの希薄さ、25%に上る高齢化率など、さまざまな問題点が明らかになった。

 

 向島ニュータウンは1977年4月に入居が始まり、最盛期には市営と公団、分譲住宅に計2万人以上が入居。現在は子育て世代の高齢化が進み、住民は7千人近く減った。身体障害者や日本語が不自由な中国帰国者、独居高齢者も多い。
 検討会は、今後のまちづくりの方向性を見いだそうと、今年4月に発足した。自治会や各種団体をはじめ、地域内のコミュニティースペースを運営する京都文教大(宇治市)、病院、福祉施設、商店会なども参加する。
 多様な課題を抱える向島ニュータウンにとって、解決には6分科会での熱心な議論が鍵となる。7月17日には「防災・防犯」の部会が開かれ、自主防災会やパトロール隊の住民、伏見署、区役所の防災担当者が集った。
 参加者は建物の耐震強度などハード面の不安、聴覚障害者や中国帰国者への災害情報の伝達を議論した。重点的に行う取り組みを決めるには、住まいや障害者、多文化共生など分科会同士での連携が必要だと確認した。
 検討会や分科会に参加する住民からは「多様な課題を抱える人がいるからこそ、全ての人に優しい環境が作れるのでは」「子育てのモデル地区から、シニアライフのモデル地区にしたい」と前向きな声が上がっている。8月も6分科会で会合などを重ね、検討会全体の話し合いを経て、来年1月のビジョン案完成を目指す。
 京都文教大総合社会学部の杉本星子教授は「ニュータウンは、現代日本社会の縮図。検討会によって、住民と行政、事業者がともにまちの将来を語り合う場が生まれた。行政側の力量がどこまで発揮できるのか期待されている」と話している。