新選組屯所があった旧前川邸(京都市中京区)

新選組屯所があった旧前川邸(京都市中京区)

 新選組の屯所だった「旧前川邸」(京都市中京区)隣接地のマンション開発計画に、周辺住民らが中止を求めている問題で、市開発審査会が、開発の前提となる道路拡幅に向けた土地所有者の同意がなければ「開発許可の取り消しも禁じ得ない」と裁決したと、住民側の代理人が24日発表した。請求自体は棄却されたが、土地所有住民の反対の意向は強く、当初計画通りの開発は事実上不可能になった。

 住民側は、開発に伴う工事車両が通る敷地周辺の道路について、開発許可基準(幅4メートル以上)に達しない部分があるなどと主張。市の開発許可を取り消すよう、8月に同審査会へ審査請求していた。

 裁決書では、市から業者への開発許可の取り消しを「付言」で言及した。許可の時点では適法だったが、後に道路予定地の所有者が同意を取り消し、土地を売る意向もないため、開発要件の道路拡幅をできない状態で、「工事の着手は許されない」と強調。同意なき着手となれば、市に許可取り消しも選ぶよう促す。

 一方、請求自体は住民側が地域の歴史や景観、交通への影響も挙げて「住民に強烈な犠牲が生じる」と訴えたが、棄却・却下された。

 代理人の弁護士は「現行のマンション計画では道路予定地の所有者を含めて地元住民の反対が根強く、今後も同意はあり得ない。開発許可の取り消し相当ともいえる内容だ」と判断している。

 市開発指導課は「当時の開発許可が適法との主張は受け入れられたが、付言の内容は尊重したい。工事の強行がないよう見守りたい」としている。

 旧前川邸は文久3(1863)年に上洛した浪士組(新選組の母体)が宿舎に用い、当時の長屋門や土蔵などが現存する。池田屋事件のきっかけになった拷問を行ったり、幹部の山南敬助が切腹したりした場所と伝わる。当初事業計画では、大阪市の事業者がこの隣接地に地上7階の賃貸マンションの建設を予定している。