古民家を改装した「ギャラリーデン南山城村」の前で、「作家とは言い合うこともあった」と話す手島さん(南山城村高尾)

古民家を改装した「ギャラリーデン南山城村」の前で、「作家とは言い合うこともあった」と話す手島さん(南山城村高尾)

別館の「AIR南山城村」も同時に閉まる。手前には現在展示中の立体作品がある

別館の「AIR南山城村」も同時に閉まる。手前には現在展示中の立体作品がある

 京都府南山城村にあり、茶畑に囲まれて現代アートを展示してきた「ギャラリーデン南山城村」が28日までの展示を最後に閉店する。「人と人を絵でつなぐ」ためにギャラリーを続けた手島美智子さん(79)が、年齢を考えて区切りを決めた。大阪から村へ来て約10年間、近畿一円の作家やアートファンから親しまれてきた。

 デンは「たまり場」の意味。人が好きという美智子さんが、絵を通した交流の場にしたいと、1995年に大阪市の中心部で始めた。2010年、夫の光司さんの希望で南山城村へ移住。古民家を改装し土間の部分をギャラリーにした。

 美智子さんは「ここまで作家が来てくれるか不安だった」と移住には反対だった。だが、古民家という生活の場独特の雰囲気を面白がり、展示したいという人は多かった。別館で経営する「AIR南山城村」と合わせて年10回の展示のたびに、500通以上の案内を出して集客にも努めた。

 山奥の集落に突然現れた現代アート。地域住民の来客は多くなかった。「“わけのわからないもの”だったと思います」。それでも「来てくれて集落が変わる」と言う人や、デザイナーとして展示ポスターを作ってくれる人もいた。

 4年前、地元で絵を描く集まり「といろの会」を始めると、筆を持ったことがない人も参加した。「誰しも描きたいという心がある」と思った。同会の発表展示は今後も続ける。

 来春には、自身のコレクション展を大阪で開き、絵の売り上げはアート活動に寄付する予定。雑居ビルの一室から始まったギャラリーは28日、地元の和太鼓団体の演奏に見送られて幕を閉じる。