それにしても動きが鈍いように見える。

 ようやく、政府は新型コロナウイルス感染拡大を受けた観光支援事業「Go To トラベル」の見直しに乗り出した。

 感染拡大地域を目的地とする新規予約を一時停止し、予約済みの旅行は割引適用を無効にする。利用者のキャンセル料負担がないようにし、旅行や宿泊施設の損害は国が補償するというものだ。

 先週、政府の新型コロナ対策分科会が見直しを提言していた。菅義偉首相は口癖のようにスピード感が重要と言ってきたが、見直しについては対応が遅い。

 この間に3連休があり、京都をはじめ観光地は大勢の人出でにぎわった。行楽客は久しぶりの遠出を楽しむ一方で、感染拡大を心配していたようだ。政府のコロナ感染に対する姿勢が煮え切らず、多くの人がどう行動すべきか迷っているのではないだろうか。

 政府の見直しは、これまでの都道府県単位ではなく、医療体制の逼迫(ひっぱく)が懸念される感染地域への旅行に限定している。今のところ、一時停止の意向を示していた大阪市や札幌市が対象で、トラベル事業から3週間程度除外する。

 こうした見直しは、全国知事会の緊急提言にほぼ沿っている。とはいえ、西村康稔経済再生担当相が見直しの具体策を示さず「知事にまずは判断してほしい」と繰り返していることに、知事からは「地方への丸投げがないように」との苦言が出された。

 政府のこれまでの対応は、危機感に欠けると映っているからだろう。現場に近い知事の発言をしっかりと受け止めるべきだ。

 京都府の西脇隆俊知事が指摘していた旅行の出発地について、政府は事業除外対象とはしなかった。嵐山など観光地には、感染急増中の東京や大阪などから多くの行楽客が訪れている。これでは感染は全国各地に拡散しかねず、踏み込んだ対応が必要ではないか。

 菅政権はトラベル事業の継続にこだわってきたが、連日のように感染者数の最多更新が続き、方針転換せざるを得なかった格好だ。

 飲食業界への支援事業「Go To イート」の一時停止や飲食店の時短営業要請も検討されている。政府が休業中の支援策などを時を置かずに示せば対応は早くなるはずだ。

 感染防止と経済活動の両立は重要だが、今は感染防止に注力する時だ。臨機応変で機動的な対策を、冬本番に向けて求めたい。