新型コロナウイルスの感染者急増で、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する懸念が強まっている。政府や自治体は、感染拡大の抑止と患者の受け入れ準備に全力を挙げるべきだ。

 政府の分科会の基準で「感染急増」に当たる北海道、東京、愛知、大阪の各都道府県はコロナ患者向けに確保した病床の使用率がいずれも40%を超え、北海道では75%に達した。

 実際、大阪府では入院が必要な患者数がベッド数を上回る事態が現実味を帯びている。府が確保したとする重症用病床は206床で、24日時点の使用率は50%。ただ、他の病気の患者による使用を含めると86%に上り、新規感染者が今のペースで増えると来月上旬には不足状態に陥るという。

 「医療崩壊の手前」と危機感を募らせる声も出ている。新規感染者数の最多更新が相次いでおり、急速に事態が悪化しかねない。

 各都道府県は今春以降、感染状況に応じて段階的にコロナ用の病床を増やす措置を取ってきた。政府も病床維持のための補助制度を拡充してきた。だが、一般病床以上に多くの医師や看護師が必要で、ベッド数の確保には一定の時間がかかる。

 日本医師会の中川俊男会長は、医療スタッフの不足などの問題もあり、地域によって「現実は満床の状態だ」と訴えている。

 コロナ病床の使用率に余裕がなくなれば、他の病気の診療や手術などに大きな影響が出かねない。海外の感染拡大地域では、コロナ以外の病気による死亡率が高まったとの報告もある。

 分科会は、医療体制の確保のため、高齢であっても症状が軽い患者は宿泊施設や自宅での療養を要請している。入院患者の受け入れについては、医療従事者の支援も含めて近隣府県の広域的な連携を検討すべきだろう。

 冬場を迎え、インフルエンザとの同時流行に備えて、かかりつけ医で検査、診察を受けられる新たな体制整備が進められている。子どもや高齢者の健康を守るためにも、コロナの受け入れ病院とかかりつけ医との役割分担を踏まえた上で連携し、地域医療を確保する必要がある。

 現在の流行は、感染経路が不明なケースが増えており、特定の感染源に絞った対策を講じるのが難しい状況だ。

 感染拡大地域の移動の自粛はもとより、マスクの着用や3密の回避の徹底など地道な対策が求められよう。