京都市内で野菜の配達をする鈴木さん(右)。採れたて野菜で人気は高い=京都市中京区

京都市内で野菜の配達をする鈴木さん(右)。採れたて野菜で人気は高い=京都市中京区

 スーパーなどで特売の目玉になる野菜。でも移動八百屋を営む京都府南丹市の鈴木健太郎さん(43)はセールしない。野菜の箱詰めセットと事前予約制の配達のみ。「野菜セットは定額で配達数も決まっている。セールする意味がありません」
 野菜は通常、時期によって仕入れ値は変動するが、鈴木さんの取引先は市場に出荷していない小規模農家で、値段は年間ほぼ固定のケースが多いという。こだわり栽培野菜が評判で注文は増加傾向だが、規模拡大への思いはない。「働く時間とプライベートの時間のバランスを保ちたい。セールって集客の意味もあるから、あえてしないんです」

■「新しさの捏造では」

 洋服は半年ごとに新商品が登場し、店頭のものは割引されるのが通例だが、京都精華大の蘆田裕史准教授(ファッション論)は「新しさを捏造(ねつぞう)するビジネスと言い換えられるかもしれません」と疑問視する。スカートやコートの丈の長さが変わったりするだけで劇的変化はない。「半年たったから古い」「半年後に登場した商品が新しい」という印象を植え付けるための割引といえるかもしれない。

 蘆田さんは研究者らと京都で服と本のセレクトショップを運営。以前の服も「アーカイブ商品」と名付けて定価販売する。「作り手自らが自分の作った物の価値を下げるのは誠実な態度ではありません。『これ去年の服なんだ、でもかわいい』と思ってもらう。そんな価値観を発信したい」