付きまといや待ち伏せなどの嫌がらせ行為を禁じるストーカー規制法の施行から、20年がたった。

 同法は1999年に埼玉県で女子大生が刺殺された桶川ストーカー事件を機にできた。施行後、2度の法改正を経て規制行為の拡大や厳罰化が進み、全国の警察の取り締まりも強化された。

 ストーカーに関する警察への相談は2017年の2万3079件を最多に2年続けて減少し、昨年は2万912件だった。だが、7年連続で2万件を超えており、高止まりの状況にある。

 近年は、情報通信機器を悪用した新たな手口も報告されている。卑劣な犯罪の芽を摘む仕組みの整備が急がれる。

 今年7月、最高裁が示した判断が波紋を呼んだ。衛星利用測位システム(GPS)機器を女性の車に取り付けて位置情報を知る行為について、規制法が禁じる「見張り」には当たらないとした。

 規制法が住居や勤務先といった場所「付近」での行為を見張りと規定しているためだ。これまでに59件のGPS監視を同法違反容疑で摘発してきた警察は、同様の対応が難しくなった。

 法令に規定のない処罰は科さない「罪刑法定主義」の原則に沿った最高裁の判断は、立法府に法改正を促しているといえよう。

 警察庁はGPS監視の法規制に向け検討を始めたが、会員制交流サイト(SNS)の投稿から自宅を割り出したり、郵便追跡システムに不正アクセスして被害者の郵便物を入手したりするなど、法律が想定していなかった事例が他にも出ている。多様化するストーカー行為の実態を踏まえて法の見直しを進めなければならない。

 加害者への対策も求められる。警告や禁止命令を受けても付きまといなどをやめられず、逮捕に至るケースが少なくないと指摘されている。

 被害者への執着心や支配意識をなくすことを目的に、警察は16年から、再発の恐れがある加害者に医療機関での受診を働き掛けている。昨年は全国で124人が受診し、その再犯率は1割と一定の防止効果が出ているという。

 ただ、昨年は824人に受診を働き掛けたのに対し、応じた人は15%にとどまった。あくまで任意の要請であり、いかに受診率を向上させるかが課題といえる。

 厳罰化や警察任せの対応だけでは限界がある。自治体や地域の医療機関などが連携し、支援体制を整えていくことが必要になろう。