乳がん検診普及を呼び掛けるため、ピンク色にライトアップされた二条城の隅櫓(京都市中京区)

乳がん検診普及を呼び掛けるため、ピンク色にライトアップされた二条城の隅櫓(京都市中京区)

 医療従事者へのエールを送る京都タワーのブルーライトアップ。新型コロナ禍でひっそり静まる京都の夜空に青い塔が浮かび上がった(京都市下京区、4月27日撮影)

医療従事者へのエールを送る京都タワーのブルーライトアップ。新型コロナ禍でひっそり静まる京都の夜空に青い塔が浮かび上がった(京都市下京区、4月27日撮影)

京都タワーの主なライトアップと光の色

京都タワーの主なライトアップと光の色

 乳がん検診普及を呼び掛けるピンク、新型コロナウイルスと向き合う医療従事者を応援する青-。メッセージを込めた色の光で、著名な建築物や文化財をライトアップする取り組みが、京都市内でも定着している。夜空に浮かぶまちのシンボルの発信力は抜群だが、景観と両立させる配慮も欠かせない。

 人影まばらな京都の夜に、青い塔が浮かんだ。緊急事態宣言下の4月27日から5月6日にかけて、京都タワー(下京区)が行ったブルーライトアップ。「われわれにとっても、タワーの価値を再認識する機会になった」と、タワーを運営する京阪ホテルズ&リゾーツ(同区)タワー事業部の加賀田洋副部長は振り返る。

 新型コロナ禍の張り詰めたムードの中、希望をともす話題として多くのメディアが取り上げ、SNS(会員制交流サイト)に多くの賛同の投稿があるなど、反響は大きかった。「京都のシンボルとして、認知していてもらえていることが分かり、大変ありがたかった」

 社会運動のシンボルカラーでのライトアップが脚光を浴びたのは「ピンクリボン」が高まりを見せた2000年前後からとみられる。京都タワーでは08年にピンクリボンへの協力を開始。以後、同様の利用が増え、16年には光色を自在に変えられるLED(発光ダイオード)投光器を導入。また二条城(中京区)や府庁旧本館(上京区)などの文化財、企業が自社ビルで行うケースもある。

 利用する団体にとっても、まちのシンボルを使ったPRへの期待は大きい。13年以降、9月の世界アルツハイマーデーに合わせて、京都タワーをオレンジ色に照らしている「認知症の人と家族の会」(上京区)は「一般の方の目に留まりやすく、活動を知ってもらうきっかけになる。当事者にとっても連帯感の象徴にもなる」と意義を強調する。

 一方、他都市では08年、彦根城天守閣(滋賀県彦根市)を赤く照らすライトアップが「炎上しているみたい」との批判で中止された事例もある。京都市は建物外壁の色に厳しい規制をかけているが、同種のライトアップに対する「規制やガイドラインは現状ではない」(市景観政策課)。ただ市民からの苦情などが寄せられれば、取り組みに影響を及ぼしかねない。

 京都タワーでは16年の改修以降、ライトアップを月に最大14日間までに限定し、文字の投影や企業広告としての利用を控えるなど、「全国のタワーで最も厳しい」(加賀田副部長)運用ルールを設けて対応している。

 二条城ではピンクリボンなどの周知で重要文化財の隅櫓(すみやぐら)をライトアップしているが、照明は比較的淡い色合いに見える。新型コロナ禍で感染拡大への警告を示すために、東京都庁や大阪城に施された派手な色調の照明とは対照的だ。

 市元離宮二条城事務所の鳥居将志総務課長は「二条城をきつい色で照らすのは難しいと思う」とした上で「社会的に意義ある行動への協力とともに、文化財としての価値を損なわないよう、常にバランスを意識している」と強調する。