取引の場でありながら、売買のできない事態となった。厳しい処分とトップの辞任は当然だ。

 システム障害のため、10月1日に株式売買が終日停止した東京証券取引所と親会社の日本取引所グループ(JPX)に対し、金融庁がきのう、金融商品取引法に基づく業務改善命令を出した。

 東証は、世界の主要な取引所の一つである。

 売買の終日停止は、1999年に取引が全面的にシステム化されて以来初めてで、3兆円規模の取引機会が失われたとされる。

 命令を受けて、システムの管理体制を強化し、再発防止策を徹底せねばなるまい。

 障害の発生は、情報保存機器の破損が発端だった。不具合が起きたら、バックアップを稼働させて対応するのが常識だ。

 ところが今回は、代替機への切り替えが自動的に行われず、相場情報の配信がストップした。そこで東証は、定時に取引を開始するのは難しいと判断した。

 これについては、切り替えをする設定に誤りがあったのが原因だと分かった。

 明らかに人為的なミスである。代替機が作動するのかどうか、事前に確認することも怠っていたという。

 東証は大いに反省し、同じ過ちを、繰り返さないようにしてもらいたい。

 他にも改善すべき点がある。

 障害が発生してから、直ちに売買を止めなかったため、証券会社の出していた注文が処理されず、宙に浮いてしまった。

 取引を停止したり、再開したりする際のルールや手順が、整えられていなかった。今後、厳正な対応が必要だろう。

 今回のトラブルで、日本の株式取引が、事実上停止してしまったことを、政府も重く受け止めてほしい。

 大きな要因として、売買処理が東証に集中していることもある。札幌、名古屋、福岡の3証券取引所は、東証のシステムを利用しており、同様に終日停止した。

 米国などでは、主要取引所がダウンすると、企業の運営する「私設取引システム」(PTS)が代わって取引するのだが、日本では数社しか運営されておらず、十分に機能しないという。

 政府が、日本をアジアの国際金融センターとして発展させたいのなら、東証のバックアップについても、真剣に検討しなければならないはずだ。