京都府警の交通巡視員だった娘を交通事故で亡くした女性が、交通安全対策に役立ててもらおうと、府に500万円を寄付した。府は安全教育に使う軽自動車や運転シミュレーターなどを購入し、子どもや高齢者向けに活用する。女性は「多くの人に使ってもらい、事故がなくなれば」と願い、今後数年間、寄付を続ける予定。
福岡県太宰府市の石川とよみさん(79)。娘の豊田加奈さんは1988年、府の婦人交通指導員(後の府警交通巡視員)に。93年には綾部署に配属。95年7月には旧五条署へ異動したが、2カ月後に八幡市の国道1号で、夫と同乗していた乗用車が事故に遭い、28歳で亡くなった。
加奈さんが巡視員を志したのは、母の勧めもあった。石川さんは「初めて制服を着て、うれしそうに写真におさまった姿が忘れられない」と振り返る。2005年に、綾部署に桜の苗木を寄贈し、今回「娘の遺産を、娘の遺志に添って使いたい」と、加奈さんが自身にかけていた生命保険からの寄付を、府と綾部署に申し出た。
府が購入した軽自動車には、加奈さんの姿や桜のイラストをラッピング。シミュレーターと反射神経や認知能力を測る診断機器を積み、地域のイベントや会合を訪問、教育活動を進める。
石川さんは今後、数年間をかけて計1千万円を贈る予定。府は加奈さんの名前にちなんで「かなえる・かなでるプロジェクト」と銘打ち、交通安全の啓発に使う機器を購入し、活用する。綾部署には車両を寄付する予定という。
11月26日には綾部市でプロジェクトの始動式があった。石川さんは綾部署を訪れ、成長した「加奈桜」やかつて働いていた交通課の職場を見学。サプライズで、署員が描いた加奈さんの似顔絵を手渡されると感極まり、「温かいです。こういう大きなスケールの話にしていただいて…」と涙ぐんだ。
加奈さんとゆかりのある人たちも感慨深げ。同期入庁の戸石節子さん(51)=京丹波町=は「『綾部の人みんなに、私たちの話を聞いてほしい』と意気込んでいた」と懐かしみ、式典に出席した高校の同級生山田優子さん(54)=木津川市=は、「いろんな縁がつながり、遺志を伝えることになってよかった」と語った。
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