町議が発議した町長給与条例改正案の採決。左端は状況を見守る野瀬町長(甲良町役場)

町議が発議した町長給与条例改正案の採決。左端は状況を見守る野瀬町長(甲良町役場)

 滋賀県甲良町議会は11月30日の臨時議会で、失職した元町議の議会出席を見逃した不祥事や職員の不適切な下水道会計処理の監督責任を問い、野瀬喜久男町長の給与を半年間60%減とする議員発議の給与条例改正案を可決した。町議会での町長減給の可決は2017年11月の野瀬町長就任後3年間で6回目で、18年4月以降、常に20~70%の減額措置を受けてきた。繰り返される減給発議に識者は「議会の権限の乱用では」と指摘する。

 8月の臨時議会に道交法違反(無免許運転)で有罪が確定し自動失職した元町議が出席した問題で、町は検察庁から通知書が届いていたにもかかわらず議会への報告が遅れた。また、下水道事業の会計を巡って必要な事務処理を担当職員が怠ったため、会計上の実質赤字額が発生した。

 今回の臨時議会では、監督責任を取る目的で町長自身が給与(満額月66万円)を12月から3カ月間50%減とする条例改正案を提案したが、賛成4、反対6で否決。その上で町議が6カ月60%減額する条例案を提案し、賛成6、反対4で可決した。賛成した町議は「町長の反省をインパクトをもって内外に伝えることが大事」とし、提出した町議は「可決は当然。町長は信頼回復に尽くしてほしい」と話した。

 町長の給与についてはこれまで、野瀬町長が初当選した17年町長選でのビラの虚偽記載や、友人からの借入金の選挙収支報告書への不記載などを理由に町議による減額条例案提案が相次いだ。18年4月の20%減から始まり、減額幅が最大だったのは19年1~3月と同7月~20年3月の計12カ月の70%減だった。

 野瀬町長は「責任は免れないにしても、条例で保証された給与をたびたび減額され、生活に支障が出るレベル。一方的な構図だが、議会の権利でどうしようもない」と話した。

 地方行政に詳しい同志社大の真山達志教授(行政学)は「給与を条例で決める制度の本来の趣旨から逸脱し、権限の乱用にもみえる」と指摘。「町長の監視は議会の役割の一つだが、極端な制裁は町民の信認を得られないだけでなく、人権侵害にもなる」と話す。