-時の政府が学問の自由を脅かすという点で、共産党は戦前に起きた京大の滝川事件や天皇機関説事件が戦争への道につながったと指摘している。

 「ものを言えない社会をつくろうとしているとは感じる。国論を二分するような法案を押し通すというだけでなくて、そもそもそういったものに対する批判の声や芽を摘んでしまう狙いが見え隠れする」

 「特に安保法制の時は学者の会が各地でつくられ、中には参考人で意見を述べられた方もいた。集団的自衛権を認めるような解釈変更を許してはならない、あるいは法律を作って自衛隊が海外に出かけられるようにするのは9条に反する。そういった運動が広がる一つの柱、担い手を学者の皆さんが構成してきた。政府はそれがうっとうしいのではないか」

 「政府がやろうとしていることに盾突くような人は変な人だという印象をつくりだすことで、そういう世論が広がらないようにあらかじめ封じようとしている。秘密保護法で国民の目と耳をふさいで、安保法制で戦争ができる国をつくり、共謀罪で密告社会へ。すぐに発動するわけではないかもしれないが、それらを可能にする道が着々とつくられている」

 -任命拒否問題は元警察官僚で内閣人事局長を兼務する杉田和博官房副長官が関与したとされる。安倍政権から続くこういった官邸官僚の存在をどうみるか。

 「杉田さんについては、菅さんが『杉田さんから言われて』と言っているのでその通りなんだと思う」

 「官邸官僚の暗躍が言われているが、私は具体的な動きや誰がどのようなことまで動いたのか、具体的な詳細を知るわけではない。最終的には総理がどう判断するかが問題だ。杉田さんが仮に6人排除についての首謀者というか主体的に関わった人物だとしても、過去の例に反して是とした総理の責任が重大だと思う」

 -政府・与党は学術会議の在り方を見直している。

 「学術会議の在り方は現状で良いという報告書が2015年にまとめられている。それを覆して学術会議を独立行政法人化とか民営化と言われているが、本当に必要なのか」

 「学術会議が果たしてきた役割の検証がないといけないし、曲がりなりにも政府が学術会議は意義有るものと認めてきたことについて問われないといけない。順序だった話ではなく、在り方論が降ってわいたように議論されている印象。政治にとって都合のいい学問研究をやってほしいという在り方を押しつけようとするものだと思う」

 -井上担当相は学術会議の梶田会長と会談するなどしているが、万博や消費者問題も兼務している。どこまでこの問題を熱心に取り組んでいるか伝わらない。

 「学者や研究者に対するリスペクトというか、自分たちとは違う論理、原理原則の中で存在している分野に対しての敬意が感じられない」

 「学問分野は誰でも最初は少数説から始まり、多数説になって通説になっていく。異端視されたりする研究分野が主流化することがいくらでもある。だからこそ学問は独立性、少数意見があることが前提の分野だ。一方で政治の世界は数の多数で、すべてを封じるといったところがある」

 -学問や研究は、長いスパンでみないと成果が分からない。政治は目に見える成果に飛びつく、ポピュリズム的なところがある。

 「だからあえて憲法23条があるのではないか。表現の自由や思想・良心の自由とか一般的な精神的自由とは別に学問分野を保障しようと。それは政治からの独立という意味だと思う。この任命拒否問題は放っておいていい話ではない。何とか事態を動かして6人の任命拒否を撤回させる。こういうやり方は間違っていると政治が認めてこそ、次につながる」

 やまぞえ・たく  京都府向日市出身。堀川高-東京大卒。早稲田大法科大学院修了。2011年に弁護士となり、原発事故被害賠償や過労死事件などの弁護団で活動。16年参院選で東京選挙区から初当選し現在1期目。

            ◇

 菅義偉政権が日本学術会議の新会員候補6人の任命を拒否した問題は、国会の議論が深まらないまま推移している。菅首相が説明を事実上、拒否している現状を京滋関係の国会議員はどうみているのか。インタビューした。