重要文化財指定民家での暮らしをツイッターで発信している遠山秀旦さん(右)と父親の秀史さん=亀岡市河原林町・遠山家住宅

重要文化財指定民家での暮らしをツイッターで発信している遠山秀旦さん(右)と父親の秀史さん=亀岡市河原林町・遠山家住宅

 国重要文化財の遠山家住宅(京都府亀岡市河原林町)に生まれ育った会社員遠山秀旦(ひであき)さん(28)が、重文の家での暮らしをツイッターで発信している。家の歴史や造りの紹介にとどまらず、家に入り込んだアライグマとの格闘や、庭で採れる果物の話など、あまり知られていない文化財の家での日常をつづっている。

■維持管理や後継不足 課題

 発信は、遠山さんが参加するNPO法人「全国の重文民家の集い」の「次世代の会」の活動の一環。重文民家は維持管理の難しさや後継者不足が全国的な課題となっており、広く関心を持ってもらうため、8月ごろから発信を始めた。

 遠山さんは高校卒業後、京都市や大津市に住むようになって初めて実家の建物の価値に気付くようになったという。現在は頻繁に帰省し、祖父母と両親が暮らす遠山家住宅の草刈りや収穫などを手伝っている。

 ツイッターに掲載する話題や写真は帰省した際に集める。曲がった木材を梁(はり)に使う米蔵の構造など重文民家そのものの紹介をはじめ、庭の柿の収穫や栗の渋皮煮作りなど暮らしの風物詩を投稿。コウモリやアライグマの侵入に悩まされる日々もつづる。

 遠山家の家紋について投稿した際には、読者からより詳しい説明が返信されるなど、交流も生まれた。

 重文の寺社などと比べると重文民家への世間の関心は低い。将来24代目当主となることを決意している遠山さんは「修復には国の補助も受けており、知られないままではもったいない。当面はツイッターで発信を続けていきたい」としている。

■地域住民にも理解を 研究者ら訴え

 国指定重要文化財の農家や町家は、江戸時代の建築だけでも全国に355件ある。当主の8割以上は60歳以上で、平均年齢は70歳超と高齢化し、維持管理などの負担ものしかかる。研究者らは、地域文化を受け継いできた重文民家を残すため、所有者だけでなく地域住民にも理解を広げる必要を訴える。

 重文民家に詳しい大阪教育大の碓田智子教授(住居学)の調査では、重文民家所有者の2割が市町村に移管することで手放したいと考えているという。

 重文民家は庄屋の家などとして祭りの拠点となったり、村の年中行事を続けてきたりと、地域文化を担ってきた一面がある。碓田教授は「そこで生活していることが大事で、建物だけを市町村に移し保全しても、暮らしの文化は途絶えてしまう」と危機感を募らせる。

 一方、所有者が重文民家で暮らし続けるには負担が多い。重文建物は修復に最大85%の国補助が出るが、文化財の修復は高額。自費分が数百万円かかるケースもある。庭の管理や防犯対策なども必要だ。観光やイベントに活用しようにも、立地や構造の問題など難しい場合も多い。

 継承へ知恵を出し合うため、今年2月、遠山さんも参加する重文民家の「次世代の会」が立ち上がった。会設立にも関わった碓田教授は「文化遺産は無くなれば元には戻せない。今、重文民家を目にすることができるのは所有者が維持管理しているから。地域住民もそのことに気付いてほしい」と訴える。