夏木マリによる京都・清水寺での舞踊が今年は11月28日夜に配信された。7年目を迎えた文化奉納。数々の映画・ドラマで活躍する俳優を身体表現に駆り立てる衝動とは。(THE KYOTO=樺山聡)
■暗闇の冷気、緑に染まる一団
3連休の中日。11月22日夜に、夏木マリによる「NATSUKI MARI FESTIVAL in KYOTO 2020 『PLAY×PRAY』第7夜」の撮影は行われた。
境内ではライトアップの見学で訪れた観光客が長蛇の列をつくっていた。
その喧騒をよそに、戸を閉めきって暗闇に包まれた国の重要文化財「経堂」内では、夏木を中心とするパフォーマンス集団「MNT(マリナツキテロワール)」とつくりあげた「印象派NÉO」の一団が、本番に臨もうとしていた。
冷気が漂う。約10メートル四方の空間で、奥には文殊菩薩と普賢菩薩の間に釈迦三尊像が鎮座する。天井では墨絵の龍が目を光らせている。お香の煙が照明の線で浮き上がる。
「みなさん、集中して楽しんでください」
夏木の一声とともに、勇壮な太鼓の音が鳴り響き、「経堂」の扉が開かれて、身体表現が始まった。
この文化奉納は、2014年秋に始まった。
夏木が取り組む途上国の教育環境支援といった社会活動の中で企画された。以来、毎年この時期に、抽選で選ばれた約150人に無料で公開してきた。