仲間と協力し、世界中の死生観を描いた「死生観光トランプ」を作った霍野さん(京都市下京区)

仲間と協力し、世界中の死生観を描いた「死生観光トランプ」を作った霍野さん(京都市下京区)

 「死」について自然な雰囲気で語り合える機会をつくろうと、京都を中心に活動する若手僧侶の会「ワカゾー」が、世界各国や民族の死生観を描いたトランプを制作した。名付けて「死生観光トランプ」。旅先で異文化に出合う感覚で多様な死生観に触れられる。

 ワカゾーは、集まった人が死をテーマに語らう「デスカフェ」を2015年から主宰している。死や生についての思いや経験を誰もが話せる場として始めたが、参加者の顔ぶれは死を身近に経験した人や看護・医療職など死を日常的に扱う職業の人が中心だったといい、メンバーの霍野(つるの)廣由さん(33)たちは「誰にでも関係のあるテーマなので、もう少し幅広い人たちが気楽に語り合える場にしたい」との思いがあったという。

 そうした悩みを「まわしよみ新聞」で知られるコモンズ・デザイナーの陸奥賢さんに相談したところ、「『遊びの王様』のトランプを使ったら楽しい雰囲気ができるのでは」とのアイデアが出たといい、1年ほどかけて世界中の死生観を100以上リストアップ。「通夜には亡き人の分のウオッカとパンも用意」(トルクメニスタン)「ミツバチは死者の跡を追う」(イギリス)などユニークな死生観を書いた54枚のトランプがこのほど完成した。

 2枚のジョーカーには「死者は仏となり、私たちを見守り、包み込む」(東アジア)と「そんな人はこの世に存在しない。そう思う」(ヨーロッパ)の対極な死生観を採用した。霍野さんは「作っていてびっくりする内容も多々あった」と振り返る。

 自殺予防の電話相談活動も続ける霍野さん。龍谷大大学院在学中に学びの一環で病院を訪れた際、死期の迫った若い父親が気持ちの整理ができず、家族とも深い話ができず苦しむ姿を目の当たりにしたことが「デスカフェ」の原点にある。「日常から『死』を考えることの大切さを突きつけられた」といい、「誰しもいつ死ぬか分からないということを伝えていかなければ後悔する人生になってしまうのでは」と語る。楽しいトランプが、口に出しにくいテーマを語り合うきっかけになればと願う。

 トランプは今後、「ワカゾー」のホームページなどで販売する予定。