新型コロナウイルスの影響で、売り上げの落ち込む個人事業主や中小企業は数多い。

 そんな人らに、政府が「持続化給付金」を迅速に届けるため、申請手続きを簡素化したところ、隙を突くように全国で不正受給が相次いでいる。

 給付金は、非常時に困った人が使うお金である。断じて、不正受給に関与してはならない。

 この給付金制度は、1カ月の収入が前年同月比で5割以上減った場合、最大で個人事業主には100万円、中小企業に200万円を支給する。今年5月に申請の受け付けが始まった。

 先月末までに、所管する中小企業庁によると約383万件、約5兆円が給付された。インターネット上で簡単に申請手続きができるため、チェックが行き届かず、不正受給が含まれている。

 警察庁によると、給付金を巡る詐欺事件で、全国34都道府県の計約200人が、逮捕や書類送検された。

 今月に入って、大阪府警が逮捕したのは、大阪国税局OBの元税理士である。親族や知人に不正行為を持ち掛け、うその確定申告書類を作成して、申請を代行していたという。

 1人につき2割程度の報酬を得て、詐取した総額は1億円を超える可能性があるとみられる。専門知識を用いた行為で、悪質極まりない。迅速な給付も大事だが、詐取を未然に防ぐ方策が要る。

 警察の摘発が続く一方で、不正に関与した人から、給付金を返還したいとの申し出もある。

 人から持ち掛けられて受給したものの、犯罪だと気付いたケースなどだ。これまでに約9千件あり、うち5千件近くの約50億円が戻ったとされる。

 当局は、自ら返金を申し出た場合、返還額を2割増しにする加算金を科さない方針にしている。不正受給してしまった人は、直ちに返金を申し出るべきだ。

 持続化給付金の申請は、来年1月15日が期限である。

 コロナ禍を受けて、新たな経済対策を盛り込む本年度の第3次補正予算案と来年度当初予算案の編成作業が進む中、政府の諮問機関である財政制度等審議会は先日、給付金制度を予定通り終了するよう求めた。

 政府は、中小企業向けの新たな融資制度を設ける予定だ。

 苦境にある人を速やかに助けるとともに、不正を排する支援策としてもらいたい。