感染拡大が続く新型コロナウイルス収束に向けた大きな一歩と言えよう。

 英政府が、米製薬大手ファイザーが開発したワクチンを承認したと発表した。早ければ来週にも、感染リスクの高い高齢者や医療従事者から順に接種を始めるという。

 ロシアや中国では既に自国で開発したワクチンの限定的な使用が始まっているが、大規模な治験に基づいたワクチンを国が承認するのは初めてとなる。米国や他の欧州各国でも年内や年明けに接種開始となる見通しで、世界で実用化の流れが加速しそうだ。

 コロナ治療では、一部で抗ウイルス薬が承認されているが、世界保健機関(WHO)が効果を否定するなど決定打がない状況だ。ワクチンの実用化は、予防対策の大きな柱となる。

 今回承認されたワクチンは、4万4千人が参加した治験で、接種した場合は非接種に比べて発症が95%減ったとされる。ただ、初めて実用化される技術を用いており、接種の拡大とともに大きな副作用が見つかる恐れもある。

 ワクチンによって体内に作られる抗体の持続期間もよく分かっていない。

 横浜市立大の研究では、ウイルス感染者のほとんどが感染の半年後でも体内に再感染を防ぐ抗体を持っていたという。ワクチンでも同様の結果となるのか、さらなる調査研究が待たれる。

 日本でも、コロナワクチンへの期待は大きい。ただ、前のめりと拙速を避け、科学的知見に基づいて安全性や有効性を冷静に判断してほしい。

 政府は、ファイザー製以外も含めて全国民に行き渡るワクチンを確保する予定だ。国内での治験結果と海外で得たデータを合わせて審査し、本年度内には接種を始める可能性があるという。

 円滑な接種のためには、国と実施主体となる自治体の連携が重要となる。超低温管理が必要なワクチンの保管体制や、集団接種のための施設やスタッフの確保などの準備が急がれよう。

 先ごろ成立した改正予防接種法はワクチン接種にかかる費用を国が負担し、国民には接種を受ける努力義務を課した。ただし、承認されても安全性や有効性が十分でなければ努力義務を適用しないこともあり得るとしている。

 政府は、ワクチン接種に関する情報を具体的に提供すべきだ。国民の理解を得るための努力を怠ってはならない。