若者文化をリードしてきたファッションデザイナーと伝統を背負う陶芸家。本物を求める2人の「日本文化」への熱い思い-。共通項は「崩しの美学」だった。(THE KYOTO=栗山圭子)

 「今、日本のものしか面白いと思えない」-。
 1990年代の東京・原宿を基点に、ストリートファッションを生み出し、若者文化を牽引してきた、ファッションデザイナーNIGO®さん(49)は最近、茶道を含む「和の文化」に傾倒する。

 2年前、京都に設けた茶室に初めて迎えたのは、陶芸家樂直入(十五代樂吉左衞門)さん(71)だった。世代もジャンルも違うものの、時代や流行に流されず、とんがった自分を求める2人のクリエーターの共通項は「崩しの美学」だ。

 NIGO®さんは今、なぜ日本文化、中でも茶道と向き合うのか。

■「日本文化、興味なかった」


 「ニューヨークや世界各地に店を持たせてもらって、自分なりにグローバルに、やりきった感があったときに、(妻の)牧瀬(里穂)に歌舞伎を観てみたらと言われて」。約10年前のことだという。

 「日本の文化って、正直あまり興味がなかったんですよ。どうしても欧米の文化が好きで、そこで育ってきた。で、歌舞伎の衣装の色の合わせ方とか、すごいなと思った。職業柄、自分ではこういう合わせしないなとか、いろいろ勉強になることがあった」

 クリエーターとして、手触りのある「ものづくり」への興味は尽きない。

■妻の依頼で60碗作ったが…


 日本の文化に興味を持つ中で、陶芸もやってみたいと思いだした。山口県で一緒に日本酒造りをしていた後輩に相談したところ、偶然にも萩焼の陶芸家田原陶兵衛さんのおいだった。その後輩から同世代の陶芸家濱中史朗さん(大屋窯)を紹介され、「軽いのりで始めました」。