古都に春の訪れを告げる「都をどり」が、ホームグラウンドに帰ってくることになった。

 会場として使えなくなっている「祇園甲部歌舞練場」(京都市東山区)の改修に、来年から着手すると祇園甲部歌舞会が発表した。2022年春に行う「都をどり」から再開場する。

 芸舞妓たちが、舞などの稽古の成果を、自分たちの舞台で、存分に披露できるようになる。

 花街に本来の風情とにぎわいが戻ってくる。ファンや市民にとっても、喜ばしいのではないか。

 1913(大正2)年に建造された歌舞練場は、国登録有形文化財の木造建築である。耐震診断によって、震度6強の揺れで倒壊の恐れがあると分かり、3年前から休館している。

 以来、春の「都をどり」や秋の「温習会」といった舞踊公演は、祇園甲部の区域外で開催されることもあった。

 それはそれで興趣はあろうが、やはり、お茶屋の立ち並ぶ花街で行われるのが望ましい。

 改修では、本館の劇場部分を鉄骨で覆うなど、耐震補強を施すものの、和風建築の内外観を維持していく。

 ほかの花街にも、歌舞練場はある。その中で、祇園甲部のものは最古の建物とされる。「歴史的景観保全修景地区」となっている祇園町南側では、シンボル的な存在といえよう。

 貴重な文化財なのだから、できる限り原状を保全するよう努めてもらいたい。

 改修する方針が決まるまでに年月がかかったのは、景観に配慮しながら耐震性を備えるには、多額の費用を要するためだろう。

 関係者は、改修の総事業費を53億円と見込み、公演の収益や家賃収入などを充てる。

 隣接する弥栄会館を高級ホテルとする計画について、帝国ホテルと協議を始める。この賃料も、改修費用の一部となりそうだ。

 先に明らかになった計画によると、帝国ホテルは歌舞練場と同様に国登録有形文化財である弥栄会館の外観を保ちつつ、内部を大幅に改装する方針という。

 この際、歌舞練場や周囲と一体となった景観を形成できるよう、地元の京都市などとも、十分話し合うべきだ。

 歌舞会は花街文化を支援する京都伝統伎芸振興財団(おおきに財団)を窓口とし、改修への寄付金を募る。多方面に改修の意義を知ってもらう契機としてほしい。