国会を閉じてよい状況にあるとは到底言えない。

 臨時国会が当初の予定通り、きょう5日に閉会される。新型コロナウイルス対策や「桜を見る会」問題などの審議が不十分だとして野党から会期延長を求める声が上がる中、自民党は予算編成日程の確保を理由に突っぱねた。

 今国会は、菅義偉首相の就任後初の本格的な論戦の場だった。だが、会期は41日間しかなく、新政権の基本姿勢などについて与野党が議論を尽くせたとは言い難い。

 足元では新型コロナの感染が急拡大している。桜を見る会前日の夕食会に絡んで、東京地検特捜部による捜査が進んでいることも明らかになった。

 与党の姿勢は、コロナ対応への批判や疑惑追及を覆い隠し、逃げ切りを図っているように見える。審議軽視は自らの存在意義を否定しているに等しい。

 きのうの会見で首相は、新型コロナの感染拡大は「警戒すべき状況が続いている」と強い危機感を示した。重症者向けの病床が逼迫(ひっぱく)しているとし、国民にマスクの着用や手洗い、3密の回避を徹底するよう呼び掛けた。

 だが、コロナ対策への理解と協力を求める根拠となる説明は十分とは言えない。

 政府は、感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時停止するなど「Go To トラベル」の見直しに乗り出したが、対応の遅れは批判を浴びた。感染拡大防止を巡る政府の煮え切らない姿勢が国民の不信を招いている。

 年末にかけ事業や雇用、生活への不安が高まると予想される。政府や首相は、多様な国民の声に丁寧に耳を傾けなければならない。

 今国会の審議では、国民の疑問に正面から向き合おうとしない菅政権の姿が目に付いた。

 日本学術会議の会員任命拒否について、首相はまだその理由を明らかにしていない。桜を見る会を巡り安倍晋三前首相の過去の国会答弁が虚偽だった可能性も浮上したが、首相は安倍氏の国会招致を求める野党に「答弁は差し控える」と繰り返した。

 今後、閉会中審査が開かれるが、積み残した課題を十分審議できるかどうかは不明だ。積極的に開いて議論を深める必要がある。

 党首討論も昨年6月以降、開かれていない。大局的な観点から党のトップ同士が政策論争する意義は大きい。国民に分かりやすい審議の在り方についても与野党で議論すべきだ。