幸四郎さん(左)主演の「廓文章 吉田屋」。ヒロイン役の壱太郎さんは、祖父藤十郎さんが使っていた藤をあしらった打ち掛けを着た(5日午後8時3分、京都市東山区・南座)

幸四郎さん(左)主演の「廓文章 吉田屋」。ヒロイン役の壱太郎さんは、祖父藤十郎さんが使っていた藤をあしらった打ち掛けを着た(5日午後8時3分、京都市東山区・南座)

 京都・南座(京都市東山区)の「顔見世興行」が5日、開幕した。先月88歳で亡くなった上方歌舞伎の象徴・坂田藤十郎さん=人間国宝、京都市出身=の子息や孫たちが華やかな舞台で、芸の伝承を見せた。

 上方歌舞伎の代表作「廓(くるわ)文章 吉田屋」のヒロイン・夕霧役に抜てきされた孫の中村壱(かず)太郎さん(30)は、藤十郎さんが愛用した藤の花をあしらった打ち掛けを着用。松本幸四郎さん(47)演じる主人公・伊左衛門と相思相愛ぶりを見せた。

 また、京都・山科が物語の舞台の「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」では、藤十郎さんの長男中村鴈治郎さん(61)、次男中村扇雀さん(59)が夫婦役を情愛深く演じた。

 コロナ禍のため南座で芝居の幕が開いたのは10カ月ぶり。感染予防のため掛け声は禁止で、観客はいつも以上の拍手でもり立てた。

 片岡仁左衛門さん(76)=人間国宝=は、11月にコロナに感染した長男の濃厚接触者にあたるため初日から2日間は休演。また、初日は片岡秀太郎さん(79)=同=が体調不良で急きょ休演。「熊谷陣屋」の熊谷を中村錦之助さん(61)、藤の方を坂東竹之助さん(34)=宇治市出身=が代役で務め、風格のある演技に拍手が送られた。

 今年は例年の昼夜2部制を3部制に変えて公演時間を短縮。客数も半分以下にするなど異例の形で開催。千秋楽も例年より早い19日となる。