原発の運転を認めてきた国の安全性審査に重大な疑念を突き付けたといえる。

 関西電力大飯原発3、4号機について、設置を許可した原子力規制委員会の判断は違法だとして、取り消す判決を大阪地裁が出した。

 判決は、地震規模の想定で「必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」とし、規制委の判断を強く批判した。

 東京電力福島第1原発事故を踏まえ、策定された新規制基準に基づく審査に「合格」した原発の設置許可が取り消されるのは初めてだ。稼働中を含め、他の原発にも不安の目が向けられよう。

 未曽有の被害を招いた「想定外」の事故を本当に防ぐことができるのか。改めて問い直すことが求められている。

 裁判の主な争点となったのは、関電が算出した耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の評価と、これを基に設置を許可した規制委の判断が妥当かどうかだ。

 原告の住民らは、算出に用いる過去の地震データには平均値から離れた「ばらつき」があるのに考慮されず、過小評価されていると主張してきた。

 大阪地裁は、実際は平均値より大きい方向に懸け離れる可能性があり、規制委が定めた「審査ガイド」でも、ばらつきを考慮する必要性を示していると指摘した。

 それなのに、地震の規模で数値の上乗せをする必要があるか否か、規制委は何ら検討せず許可を出したとして、「審査すべき点を審査していないので違法」と厳しく断じた。

 2013年7月に施行された新規制基準は、福島原発事故のような惨事を二度と起こさないとの使命を負って策定されたものだ。規制委や政府も「世界最高水準の厳しさ」と自負してきた。

 しかし、今回の判決は、自ら作った基準通りに従うことなく、起きうる最大限の地震の規模を適切に検討できていないことを問題視。規制委の審査姿勢を指弾したといえよう。

 大飯3、4号機は現在、定期検査で停止している。地裁判決も、国側が控訴すれば直ちに効力は生じないという。

 これまでも電力会社を相手にした住民訴訟などで、原発の運転を禁じる判決や仮処分がたびたび出されている。だが、いずれも上級審などで覆され、確定した例はない。

 ただ、今回は新規制基準による国の安全性審査の手法を否定した初のケースである。他の多くの原発でも同じ手法が用いられており、無関係ではない。

 その信頼性が大きく揺らぐことを、規制委と電力会社は重く受け止めるべきだろう。

 原発の再稼働を進める政府方針を追認するように、次々と「お墨付き」を与えてきた規制委の審査手続きに対し、司法は厳格なルールに基づく判断を求めたといえる。

 抜本的に安全性審査の取り組みを点検し、見直していかなければ、地元をはじめ国民の不安を払い去ることはできないのではないか。