芸術(アート)がもたらす人間の未来について、画家の山田晋也さんと脳科学者の中野信子さんが語り合った。いつの時代も芸術は言語化の前にやってくる-。その真意は?(THE KYOTO=佐藤寛之)

■「清濁」と「胎内」


 「二十数年間、毎日“般若心経”を唱えるなかで疑問に思った『阿吽(あうん)』や『因果』を、自身が宿った母なる胎内とあの世(浄土)を重ね合わせ、生死に翻弄される人の葛藤として直感的に表現しました」

 初の個展である現代アート展「胎内衆会-ぼくらは何処にかえるのだろう」で表現した想いを、画家の山田晋也さんが語る。和装意匠制作の家に生まれ、代々残る文献をもとにした染色技術で創作に取り組んできた。マザーコンプレックスを自称する彼が、善悪ともに内包する人間の奥底の真理を「清濁」と「胎内」というテーマで表現している。 

 「マイクロチップやVRなど、科学の進歩は著しいですが、テクノロジーが進化すればするほど、この世、あの世、命とは、生とは、死とはなんだと思い悩む人は増え続けるのではないかと。そんなときこそ、芸術が果たす役割があるのではないか」