宇治市長選で前京都府健康福祉部長の松村淳子氏が初当選した。人口約18万5千人の府内第2の都市で、初の女性市長となる。

 「正面から課題に向かう。市民からいただいた意見を着実に生かしたい」と松村氏は抱負を語った。新型コロナウイルスの感染防止や新たなまちづくりへ新市長のリーダーシップに期待がかかるが、もとより政治手腕は未知数だ。

 松村氏には新鮮な視点で具体的な対策に取り組んでいく実行力が問われる。

 対立候補も女性で、一騎打ちとなった選挙に有権者の関心も高まるのではと期待された。だが、投票率は34・04%と前回を下回り、過去2番目の低さだった。

 主要政党が相乗りする「非共産対共産」の構図となって争点が見えにくくなったことや、新型コロナの感染拡大と重なった影響などもあったとみられる。

 多くの党から推薦を受けた松村氏は対立候補に1万票以上の差をつけたものの、得票数は全有権者の約5分の1にとどまった。

 勝利を謙虚に受け止め、幅広く市民の声に耳を傾ける姿勢が求められよう。

 まちの将来には多くの課題がある。まず指摘されるのは「停滞感」だ。半世紀以上も未整備のままの近鉄小倉駅の駅前広場に象徴されるインフラ整備のほか、新たな企業誘致や新産業の創出も進んでいない。

 人口は2025年には約17万人に減少するとの推計もある。新名神高速道路の全線開通を控える周辺市町の中で府南部をリードしていく力強さにかげりがみられる。

 一方で高齢化は加速している。25年には団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者となり、市の65歳以上の高齢化率は29・6%に達するとみられるが、すでに想定を上回るスピードで進んでいる。

 2期務めた現職の山本正市長は子育て支援や認知症対策などに力を注いだが、市長選で対立したしこりもあり、市議会では提出議案をたびたび修正された。

 山本氏が退任することに伴い「安定した市政運営」のため市議会3会派が統一候補を模索し、松村氏の擁立に至った経緯がある。

 停滞感を打破しようと松村氏は国や府との連携を掲げる。国や府、政党の顔色をうかがうだけではなく、市民ともしっかり向き合うことが大切だ。

 コロナ禍の中に踏み出す新市長として、丁寧に対話していく姿勢を忘れないでほしい。