新型コロナウイルスの流行「第3波」で、北海道や大阪府では病院や高齢者施設でクラスター(感染者集団)が相次ぎ発生した。

 持病がある人を中心に死者が出ており、地域の医療提供体制に深刻な影響が出ている。

 国内の新規感染者数は最多の水準が続いている。専門家は「院内へのウイルスの入り込みを完全に防ぐことはできない」とし、侵入を前提とした対策の重要性を指摘している。

 病院などで感染者や濃厚接触者が出るリスクを最小限に抑え、地域の医療崩壊を防ぐため、現場の負担軽減を急ぐ必要がある。

 院内感染は大規模になりやすく、死亡につながるケースが多い。先月、2医療機関でクラスターが発生した北海道旭川市では、これまでに40人が新型コロナで亡くなった。市内のコロナ患者専用病床の6割が埋まるなど、医療体制は逼迫(ひっぱく)している。

 医療や介護の現場では、密な接触が避けられない。180人を超す入院患者や職員らの感染が確認された病院によると、入院患者は高齢者が多く、体位変換などの介助が必要だった。感染した職員の離脱が相次ぎ、自前での対応はぎりぎりの状態だったという。

 厚生労働省は日本環境感染学会に委託し、防護具の脱着法などを指導する医師や看護師らの専門チームを、病院などに派遣する取り組みを始めた。

 現場の負担が増えると、手が回らず、防護対策がおろそかになりかねない。医療機関は派遣制度を活用して対策の実効性を高め、入院患者やスタッフの感染防止に万全を期してほしい。

 旭川市はきのう、クラスターの収束見通しが立たないとして北海道を通して自衛隊看護師の派遣を要請した。重症者専用施設の稼働を目指す大阪府も、自衛隊のほか全国知事会や関西広域連合に看護師派遣を求めている。

 大阪では感染症リスクや負担の大きさなどで、中等症専門病院で看護師の離職が相次いでいる。

 感染者の増加が続けば同様の動きが全国に広がりかねない。一般診療への影響も避けられず、個別の派遣要請に応じるだけでは追いつかなくなる可能性もある。

 保健所のクラスター追跡などの後方支援も強化しなければならない。患者の受け皿確保やスタッフの広域的な派遣、連携に総力を挙げ取り組む必要がある。政府はコロナ対策の予備費を活用し、人材の獲得や定着を後押しすべきだ。