全国の小中高校、特別支援学校における、2018年度のいじめの認知件数は54万3933件で、過去最多だったことが文部科学省の調査で分かった。

 前年度から31・3%、12万9555件の大幅増である。滋賀県内の件数も最多を更新した。京都府内は横ばいだった。

 11年の大津市の中2男子いじめ自殺を受け、13年に施行されたいじめ防止対策推進法は「対象者が心身の苦痛を感じているもの」と、いじめを広く定義している。

 文科省は認知件数の増加を「積極的な認知を求めてきた成果」と見る。「気付き」が広がり、被害の掘り起こしが進んだことは一定評価できるかもしれない。

 とはいえ、いじめが減少に向かうわけではく、毎年増え続けている状況は看過できない。多くの子がつらい思いをしている実態を直視しなければならない。

 特に、骨折など心身の大きな被害や長期の不登校に至った「重大事態」が、128件増の602件で過去最多だったことは重く受け止めるべきだ。

 早期発見が、そうした事案の抑止につながっていないことを意味する。いじめの深刻化を防ぐ推進法の目的が果たせていない。

 教員がいじめの「芽」を認知できても、摘み取り切れていない実情がうかがえる。双方が握手したら、いじめは解消―そんな形式的な対応になっていないか。

 まず認知するという段階から、具体的にどう対処するかという段階に来ていると、専門家は指摘する。取り組みを前に進めなくてはならない。深刻化を防ぐための体制が求められる。

 気になるのは、教員を取り巻く環境だ。働き方改革の動きはあるものの、文科省調査では公立中教諭の6割、公立小教諭の3割が「過労死ライン」を上回る勤務に従事している。

 多忙な教員が絶えず目配りするのは難しい。特定の教員が抱え込むのではなく、教育委員会や学校のバックアップが欠かせない。

 家庭や地域の役割も大切だ。いじめ防止には社会の総合力が問われる。各学校で、保護者や地域、子どもたちを巻き込み、具体的で実効性のある対策に取り組む体制がつくれないだろうか。

 神戸の小学校で教諭4人が同僚をいじめていた問題は、学校環境をいま一度、足元から見直す必要性を示した。特異な事案で済まさず、学校の閉鎖性など課題を共有しなくてはならない。