宇宙探査の世界に新たな扉を開く快挙といえよう。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が6年間、約52億キロに及ぶ小惑星りゅうぐうへの旅を完了、オーストラリアの砂漠にカプセルを無事着地させた。

 カプセルはきのう相模原市にあるJAXAの研究施設に届き、今後詳細に分析される。既に内部からガスを検出しており、りゅうぐうで採取した物質に由来する可能性があるという。

 りゅうぐうには46億年前に太陽系ができたころの痕跡が残り、有機物や水を含むとみられることから、採取された試料は太陽系の成り立ちや生命の起源を知る手がかりになることが期待されている。

 国内外の研究機関と連携し、科学的成果につなげてほしい。

 相次ぐ不具合に苦しみ、奇跡的に地球に帰還した初代「はやぶさ」の教訓から、2代目はエンジンの耐久性などを高めて機体を進化させた。

 目立ったトラブルもなく順調に任務を果たせたこと自体が大きな成果だろう。機体は燃料が半分ほど残り、別の小惑星への追加任務に旅立った。

 りゅうぐうでは、岩だらけの地表に2度の着地を成功させた。特に日本の高い技術力を印象付けたのは2回目だ。金属弾を撃ち込んで世界で初めて人工クレーターをつくり、風化していない地下の物質を採取したとみられる。

 この挑戦にはJAXA内部で強い慎重論があったという。最初の着地で地表の物質を入手しているのに、機体が損傷すれば帰還できなくなるためだ。

 それでも実行に踏み切ったのは初号機の経験を踏まえてシミュレーションを繰り返し、考えられるトラブル全てに対応できる自信がチームにあったからだ。

 メンバー全員が能力を高めてなし得た成功といえる。

 とはいえ、日本の宇宙関連予算は安全保障や産業利用に重点が置かれ、探査のような宇宙科学分野の予算は優先度が低い。

 はやぶさ2の開発費は約300億円。10月に小惑星ベンヌで試料を採取した米国の探査機の3分の1だ。技術面の工夫などで低予算を乗り越えたが、限界がある。

 今後、国際協力で火星の衛星を探査する計画もある。長期的な予算確保と人材育成が欠かせない。

 世界が天体の試料採取に力を入れ始める中、持ち帰る高度な技術を手にした意味は大きい。それを磨き、生かす政策を求めたい。