感染症食い止めを願う国民の切迫感とずれていないか。

 政府は、新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加の経済対策を決定した。

 2020年度第3次補正予算案と21年度当初予算案に計30兆6千億円を計上し、「15カ月予算」として切れ目なく取り組むという。

 民間投資を含めた事業規模は約73兆6千億円に上る。4、5月にそれぞれ100兆円を超える巨額の対策を打ったが、3度目も大規模対策となる。

 ただ、中身を見れば、コロナ対策の看板の下、次期衆院選もにらんだ与党の歳出拡大圧力により、予算規模ありきで膨張した感が拭えない。

 これまでの政策効果をしっかりと検証し、必要性と優先度を見極めることが求められよう。

 追加対策では、従来の支援策の多くを基本的に継続させる。

 観光支援策「Go To トラベル」は、来年1月末の終了予定を6月末までをめどに延長する。企業向けの雇用調整助成金も、今月末が期限の特例措置を来年2月まで延ばす。

 これらは地域の経済、雇用の支えとなっている半面、甘い制度設計や運用を巡る混乱、弊害もみられる。制度の在り方を再点検し、機動的な見直しが欠かせない。

 焦眉のコロナ感染拡大防止には約5兆9千億円が充てられる。

 感染対策に当たる自治体支援のため、病床確保などに充てる「緊急包括支援交付金」を増額するほか、営業短縮店への協力金にも使える「地方創生臨時交付金」を1兆5千億円積み増しする。

 感染急拡大で医療体制が逼迫(ひっぱく)しつつあり、受け皿施設に加え、不足する人材の確保に思い切った財政的な手当てが急務ではないか。

 しかし、追加対策の大部分は、コロナ後を見据えた経済構造の転換を掲げた成長戦略と、国土強靱(きょうじん)化の公共事業が占める。

 1兆円超のデジタル化推進費や、脱炭素化に向けた研究開発支援の2兆円基金創設などが並ぶ。コロナ対応を名目に、菅義偉政権の看板政策への予算を膨らませたのは明らかではないか。

 第1、2次補正で緊急コロナ対策にと計上された11兆円超の予備費はなお半分以上が残っているが、21年度も5兆円を積む方針だ。

 コロナ関連の対策では、既に借金頼みで予算規模が膨らむ一方だ。野放図なつけ回しとせぬよう、国会が徹底した議論で事業効果をチェックする必要がある。