近鉄桃山御陵前駅前に並んだタクシー。通行する一般車両が、車線をはみ出して走っているのが分かる(10月16日午後6時ごろ、京都市伏見区)=画像の一部を加工しています

近鉄桃山御陵前駅前に並んだタクシー。通行する一般車両が、車線をはみ出して走っているのが分かる(10月16日午後6時ごろ、京都市伏見区)=画像の一部を加工しています

 京都市伏見区の近鉄桃山御陵前駅の駅前に「客待ち」タクシーが列をつくり、車で通る時に困っている-。京都府宇治市の男性(51)から、京都新聞の双方向型報道「読者に応える」に相談が寄せられた。現場を確認すると、タクシーが交通の妨げになっており、京都府警伏見署や業界団体が自粛を求めているものの効果は薄いようだ。当該道路は駐車禁止区域だが、車両が短時間で移動を繰り返しているため、「駐車違反」では取り締まれない背景もある。

■利用客も多く、乗り場整備必要

 10月中旬の金曜日。午後6時ごろから約30分間、同駅に面する大手筋通で「客待ち」の車列を見つめた。タクシーは増減を繰り返し、最大時は5台になった。付近には市伏見土木事務所と伏見署の掲げる「この場所はタクシー乗り場ではありません」との看板があるが、ゼロになったのはわずか1分ほど。付近は2車線道路で、タクシーが並んでいる時は、対向車線にはみ出さないと車が通れない状態になっていた。

 「指導員が巡回して注意すれば一時はいなくなるが、人が見ていないとまた集まってくる」。業界団体の京都タクシー業務センター(同区)の担当者はこぼす。センターはこの場所での指導を続け、3月にも、加盟するタクシー会社などに「近鉄桃山御陵前駅の周辺にはタクシーが待機できる場所はない」という趣旨の通知文を送った。

 ただ、客待ちをしていた個人タクシーの80代の男性運転手は「タクシー乗り場でないことは分かっているが、利用するお客さんは多い。こちらも仕事なので…」と話す。実際、タクシーに乗り込もうとする高齢女性が「いつもここから乗る。いてくれて助かっている」と話したように、乗客にも一定の利便性があるようだ。

 客待ち行為は交通違反にならないのか。府警交通規制課によると、このエリアは駐車禁止区域だが、停車は禁じられていない。道路交通法は、車が「継続的に停止」している状態や、運転者が車を離れて「直ちに運転することができない」状態を、「駐車」と定める。伏見署の松田直樹交通課長は「ある程度の時間、完全に止まっている状態を現認しないと、駐車違反では取り締まれない」

 それでは、なぜ「駐停車禁止区域」に規制を強化しないのか。停車も禁止した場合、周辺の細い道にタクシーが流入する事態も想定されるといい、以前は大手筋通と南北に直交する一方通行の京町通で、歩道に乗り上げて停車するタクシーが目立ったという。市が歩行者保護のポールを設置したことで改善は進んでいるものの、規制強化すれば周辺の生活道路にタクシーが流れる恐れがあり、踏み切れないのが現状だ。松田課長は「細い道に車が流入すれば、そこにも規制を…と際限がなくなる。専用の乗り場といった道路環境の整備が優先になる」とする。

 道路を管理する市は「課題は認識している」とした上で、「タクシーの滞留は好ましくなく、何らかの改善策を検討している」(道路環境整備課)としている。