新型コロナウイルスの感染患者が急増する医療現場で、看護師らの人材不足が深刻だ。病床確保に目を向けるだけでなく、激務に見合う待遇へ改善を急ぐべきだ。

 政府は、医療体制が逼迫(ひっぱく)する大阪府と北海道旭川市に、自衛隊の看護師を派遣。大阪には関西広域連合の自治体からも派遣する。

 大阪では、重症者用の病床使用率が70%を超え、医療崩壊が差し迫っている。15日から「大阪コロナ重症センター」を運用する予定だが、必要な看護師130人のうち確保のめどがたったのは80人。50人も不足している。

 京都府の重症者用病床使用率は9・3%(7日現在)、滋賀県は10・5%(8日現在)だが、看護師らの人材不足は対岸の火事ではないだろう。

 重症者でなくても、コロナ感染者が入院すると医療現場の負担は重くなる。防護服での作業は体力を奪い、室内やトイレの清掃なども看護師の仕事になる。感染の恐怖がつきまとう。こうした過酷な環境下で離職が相次いでいる。

 政府は病床確保に力を入れているが、支える医療従事者の確保を考慮してきたか。休みが取りにくく、長時間勤務を余儀なくされても頑張る使命感に甘えていないか。報酬も、厳しい勤務に相応するとはいえまい。

 政府が感染者に接する現場の医療従事者らに慰労金名目で5万~20万円を支給する事業を始めたのは当然だ。ただ、国が求める代理申請を医療機関がしてくれないとか、申請に必要な書類が多く医療機関の負担が大きいといった声が聞かれる。周知徹底し、簡便な手続きを考えてほしい。

 さらに気になるのは、申請対象となる働いた時期が6月末までということ。これでは人材確保につながらず、今苦闘している看護師らに報いることにもならない。

 冬のボーナスが昨季より引き下げられる医療従事者も少なくない。日本医労連によると、傘下労組のある病院や介護施設の4割超がマイナス回答という。コロナの影響で診察控えが広がり、経営が悪化したのが大きな要因らしい。

 政府が追加経済対策に盛り込んだ医療機関への「包括支援交付金」は、医療現場で働く人への慰労金としても使える。ただ、多くの病院が苦境にあえぐ中で、看護師らに届くとは限らない。

 ここは包括交付金から切り離し、医療従事者に直接支給する仕組みを検討すべきだ。現場に根差した審議を国会に求めたい。