コウノトリのため新しく設置した巣塔を見上げる仲野さん(京都府綾部市内)

コウノトリのため新しく設置した巣塔を見上げる仲野さん(京都府綾部市内)

 再び、綾部から成長する姿を-。国の特別天然記念物コウノトリが生息しやすい環境をつくろうと、京都府綾部市の人たちが会を発足させた。市内に人工の巣塔を建設し、「定住」してもらうための取り組みを進めている。

 同市では近年、各地でコウノトリの飛来が確認されており、昨春には市北西部の電柱上でつがいが営巣した。初めてひながふ化し、市民公募で「綾来(あやら)」と名付けられたが、巣から飛び立った後の10月に死に、巣は安全のため関西電力が国の許可を得て撤去した。

 地域では継続的にひなを育てられる環境をつくろうという声が高まり、親鳥が飛来した際、子育てしやすいよう、有志で「綾部コウノトリを守る会」を立ち上げ、巣塔を作ることにした。

 塔はコンクリート製で高さ11メートル。直径1・8メートルの台座を設け、電柱上にあった巣を移設した。親鳥がえさを求めて飛び回っていた範囲で好条件の立地を探し、保護・観察に取り組む兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)の助言を受けて決めた。1カ月間で府内外の150人から寄付が集まり、11月中旬に完成。見学者が増えることを避けるため、場所は非公表としている。

 同会は、コウノトリが居着く環境も整えようと、荒れ地を湿田の状態にするなどビオトープ化も視野に入れている。会長の仲野守さん(75)は「コウノトリを通し、環境を考える勉強にもなった。また子育てをしてくれるかは、春を待たないと分からないが、できる限りのことはしたい」と語った。