またも「見切り発車」の失敗を繰り返そうというのか。

 政府は、断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の代替策として、イージス艦2隻を新造する方針を固め、来週にも決定する。

 政府は「情勢の変化に応じ、運用上最適な海域への柔軟な展開が可能だ」と艦艇での対応を目指す理由を説明する。

 だが、地上イージス計画の目的とされていた海上自衛隊の警戒負担の軽減に逆行し、割高とみられる配備コストの全体像も明らかにされていない。

 導入ありきの強引な地上配備案が頓挫し、撤回に追い込まれた反省がみえない。その「穴埋め」を急ぎ、生煮えのまま打ち出した印象が拭えない。

 安全保障環境が変化する中、日本にとって必要で、可能な備えや対処はどうあるべきか、抜本的な議論が求められよう。

 政府は、新造する2隻を弾道ミサイル防衛を主任務とする「イージス・システム搭載艦」と説明。ミサイル開発を続ける北朝鮮、海洋進出を強める中国を念頭に洋上での機動力を重視するとし、戦闘機や巡航ミサイルなどへの迎撃装備も検討するとした。

 だが、掲げていたミサイル防衛強化の軌道修正となり、課題は山積している。

 地上配備計画では「24時間365日の切れ目ない防衛態勢が可能」としていたが、搭載艦は補給・整備や海洋気象によって常時の警戒監視が厳しくなるとの指摘がある。現在、任務に当たる既存のイージス艦8隻と組み合わせた態勢の構築が課題といえよう。

 新造される2隻の運用には多数の乗組員の確保が必要になる。海自は定年延長や省人化を進める方向だが、さらに重くなる負担を懸念する声が出ている。

 コスト面も、政府委託の業者試算ではイージス艦2隻の導入費だけでも4800億~5千億円以上とされ、地上配備より2~3割増に相当する。

 だが、政府は具体的な性能や装備も検討中だとし、総額提示を先送りするという。

 そもそも、地上イージス自体がトランプ米大統領の要求に応じた米国製装備の購入が発端だった。さらに全容があいまいな代替策に国民は納得するだろうか。

 高性能化するミサイルを完全に防ぐのは現実的に不可能だ。どこまで防御態勢を取るべきか、緊張緩和に向けた外交的努力と合わせて総合的に検討する必要がある。